寂聴さんが語る“コロナ禍だから知っておきたい”名僧の言葉
’20年はコロナで明けて、コロナで暮れる、まことに暗い1年になってしまいました。私がいちばん残念に思うのは、コロナで人が集まれないために、法話の会ができなくなったことです。立派な会場でする講演会と違って、ここでは本音の法話ができるし、来てくださった人々もざっくばらんに相談してくれます。
寂庵で皆さんと会って、お互いの顔を見ながら一人ひとりの悩みを聞いているうちに、今の社会が見えてくる。次に何を話そうか、あるいは何を書こうかというアイデアやエネルギーも、人と話すうちに湧いてくるのです。人は顔を合わせないと、慰め合うこともできません。コロナのせいで人と会えなくなったのは、非常につらい、寂しいことでしたね。
その寂しさを救ってくれたのは、私の66歳年下の秘書・瀬尾まなほが産んだ赤ちゃんでした。
その赤ちゃんが本当にかわいい。もちろん私の孫ではないのですけど、かわいい子がそばにいるだけで、気持ちが明るくなります。
まなほの赤ちゃんと廊下に寝転んで遊んでいると、自分が子どもにかえったような気持ちになる。そのおかげなのでしょうか。年が明けると私は数えの100歳になるのに、自分ではその実感がまったくない。