2021年1月19日 15:50
直木賞受賞は?「NEWS加藤」全著作レビューで筆力分析
’12年のデビューから7年、ほぼ年1冊のペースで小説を書き続けてきている加藤シゲアキさん(33)。7作目での直木賞ノミネートは出版界のみならず、世の本読みたちを大いに賑わせ、耳目を集めています。
加藤さんの作品をお読みになったことがない方は、彼が人気アイドルグループNEWSのメンバーであることから「所詮、ジャニーズが書いているんでしょ?」「直木賞も話題づくりじゃないの?」と、冷めた目で見ているかもしれません。’03年から『女性自身』で書評を担当してきた私は、それはちょっともったいないですよ、と申し上げたい。
そこで、彼のデビュー作から候補作品まで一挙に紹介したいと思います。
加藤さんはデビュー作『ピンクとグレー』で、現在と過去を混在させながら芸能界という特殊な世界に足を踏み入れた若者たちの闇と光を描きました。“ジャニーズ事務所所属のアイドルが書いた”というだけで明るい青春小説を想像すると裏切られます。作品全体に薄暗く不穏な空気が漂っているからです。
筆致や構成など荒削りな面がまだまだ目立ちますが、一般には見えてこない芸能界の状況がつぶさに描かれ、「なるほど」