“妻のトリセツ”作者に離婚考えさせた子育てに対する温度差
「そうじ機を持ち出した夫の行動は、察することが苦手で、問題解決に邁進する男性脳の誠実さだと、脳の思考領域では理解できます。でも、感性の領域では、しっかりと頭にくるんです(笑)」
そうは言いつつも、男女脳の違いを理解した今では、一時的にイラッとすることはあっても、深刻なまでに不満がたまることはないという。
「けれど、脳科学の研究が半ばのころは、夫を許せず、離婚寸前まで関係が悪化したこともありました」
黒川さんに離婚危機が訪れたのは’99年ごろ。結婚14年目のことだった。夫婦危機を迎えたときの黒川さんは、長年勤めた会社から独立、起業したばかり。人工知能の研究を進め、会社を軌道に乗せることで精いっぱいだった。
「そこに、小学生の一人息子の子育て、そして家事全般の忙しさが加わったんです」
子育てに対する、男女の温度差を痛感する日々だった。
「たとえば息子が熱を出したら、一人にはしておけません。
でも、私に起業したばかりの会社の命運をかけたプレゼンがあっても、夫は『定例会議がある』と休んでくれない。どちらが重要な会議かは議論しませんが、毎回、息子の世話をするのは私でした」
あるとき、止むに止まれぬ状況で「今日だけは、お願い」