くらし情報『震災の痛みに寄り添う食 料理家・枝元なほみが考える“食べる力”』

震災の痛みに寄り添う食 料理家・枝元なほみが考える“食べる力”

(撮影:田山達之)

(撮影:田山達之)



料理研究家の枝元なほみさん(65)は、料理研究家という仕事をしているのに、料理学校に通ったこともなければ、修業時代もない。いつも現場に身を置くことが“修業”だった。

「私、なろうと思って料理研究家になったわけじゃないの」

大学3年のとき、友人の始めた中野の無国籍料理店「カルマ」で働き始めた枝元さん。これが、料理の仕事の端緒となる。

「進学した当時、大学は学園紛争の終わりごろでロックアウトされていたなか、演劇をやっている友人に誘われ、深い考えもなく、『いいよ』で、芝居の切符のモギリなんかを手伝ってたら、今度は『人が足りないから役者で出てくれない?』と言われて、また『いいよ』と。大学3年生の時に入ったこのお店も、バンドをやっていたボーイフレンドの友達が始めたので、自然に手伝うようになっていた。卒業後も、まったく就職するつもりはありませんでした」

転形劇場に研究生として入ったのが、26歳のとき。しかし、88年に転形劇場は突如解散してしまう。


「もう、カラ~ンでしたよ。途方にくれました。女33歳。普通は結婚して、子供も1人2人いて安定している。仕事を続けている人は、そこそこキャリアを積んでいる。

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