「夫が亡くなった時も」橋田壽賀子さんと石井ふく子氏の60年
それで、もしダメだったら、もうお呼びじゃないということだから“放送界”をやめよう』と言って、スタートしましたね」
橋田「『当たらなかったら、老兵は消えてゆくのみだね』と言って(笑)」
“去り際も一緒”。そう決意し『渡鬼』に臨んだ2人は、まさに戦友同士だったのだ。
「橋田さんは’64年の『袋を渡せば』(同局系)で石井さんに評価してもらったことで、テレビの仕事が舞い込むように。さらに岩崎さんとの仲人を務めてもらっただけでなく、『夫が亡くなった時も、辛い気持ちを一緒に背負ってくれた』とも。そうした友情に感謝していました」(テレビ局関係者)
また石井は、橋田さんを尊敬する気持ちも欠かさなかったという。
「石井さんは橋田さんの脚本に心底惚れていました。『愛と死を見つめて』の脚本が素晴らしかったものの、当初予定していた1時間では到底収まり切れない。そこで石井さんは『どうしても全部放送したい』と、スポンサーにお願いするため奔走しました。
そうして、前後編に分けて2回にわたっての放送が実現したんです。
『渡鬼』は新型コロナの影響で製作が延期になったものの、今年撮影に入る予定だったと聞いていました。