橋田さん語っていた『渡鬼』新作構想「結末はハッピーエンド」
コロナ禍のためにストレスがたまった家族たちの物語です。軋轢がありながらも、『結末はハッピーエンドになる構成にしましょう』と、橋田さんは言っていたのです。最後の電話でも『渡鬼(の脚本)は大丈夫だから』と……」
■「不倫と殺しだけは書くな」生涯守った夫の教え
70年以上に及ぶ脚本家生活の中で多くの名作を遺した橋田さん。石井さんは、そのなかでも“最高傑作”は、’79年に放送されたスペシャルドラマ『女たちの忠臣蔵「いのち燃ゆる時」』(TBS系)だと考えている。
「TBSから『戦争ドラマを作ってほしい』という依頼があったのですが、私も橋田さんも戦争を体験しているので、『戦争をテーマにしたドラマを作るのは耐えられない』と、お断りし、その代わりのように2人で作ったのが『女たちの忠臣蔵』です。
赤穂四十七士の討ち入りの陰には、女性たちの犠牲があったことを描いています。当時の資料も乏しいなか、橋田さんはそれぞれ境遇や家庭環境が異なる女性たちの視点からなるドラマを書き上げたのです」
戦国時代が舞台となったNHK大河ドラマ『おんな太閤記』でさえ、合戦シーンを脚本に書こうとしなかったという橋田さん。ホームドラマ一筋を通した理由については、インタビューでこう語っている。