2021年4月30日 11:00
「リビングに墓」墓じまいや散骨でもない新しい弔い方「宅墓」
2人用の宅墓もある、中には小さな骨壷が入る
「お墓は買うと高いし、管理するのもお金がかかる。それに、墓参りなどで、遠く離れた場所で暮らす子どもや孫たちに負担をかけたくありません……。だったら、“どちらかが先に死んだら、自宅内に置く小さなお墓に遺骨を入れて一緒に暮らそうよ”と、夫と2人で決めました」
こう話すのは、兵庫県に暮らす終活中の70代主婦。従来の形にとらわれずに、自宅で故人と“暮らす”……。そんな新しい弔いの様式に注目が集まっている。
そのトレンドを作ったのが、滋賀県にある老舗石材店「浦部石材工業」の浦部弘紀社長(50)が開発した”ブックサイズ”の小型のお墓「たくぼ(宅墓)」だ。
「6〜7年ぐらい前、無縁墓が大きな社会問題になっていて、『墓じまい』をされる人も増えていました。当時、すでにバブルのころと比べて10分の1ぐらいしかお墓が売れない状況で、危機感を持っていました。
それで石材店として何ができるかを苦悩するなか、考案したのが宅墓でした」
浦部社長は、故人の遺骨や遺灰を身近に置いて供養する手元供養をヒントに、室内に置ける小さなお墓を思いついたという。
開発段階では、室内インテリアとして支障がないデザインを試行錯誤しながら、1人用のコンパクトサイズのお墓を完成させた。