感染者急増で懸念される「東京発コロナ変異株」の危険性
最悪のシナリオは日本発祥の“東京五輪株”が生まれることだという――
つぎつぎと破られる水際対策に、はじける“バブル”……。それがもたらす最悪のシナリオは日本発祥の“東京五輪株”が生まれることだというーー。
「パンデミックの真っただ中に、全世界から9万人もの五輪関係者を東京に招き入れることは、人類史上、前代未聞のこと。世界の新型コロナウイルスの変異株が見本市のように持ち込まれる可能性があります。感染者が急増することになれば、新たな“東京五輪株”のような変異株が生まれる可能性は、十分にありえるのです」
このように警鐘を鳴らすのは、医療ガバナンス研究所の理事長で内科医の上昌広さんだ。
すでにアルファ株やデルタ株などの変異株は日本にも上陸した。特に約42万人がコロナによって亡くなったインド発祥のデルタ株は急激に国内で感染を拡大させている。懸念されるのは、さらに強力な変異株の上陸だ。
「人口あたりのコロナ死者数が世界最悪のペルーを中心に、中南米で広がっているラムダ株なども入ってくる可能性が高いでしょう。データは少なく日本でどれほどの影響があるかわかりませんが、デルタ株と同等の感染力と、より強い重症化リスクを指摘する声もあります」(上さん)
そして最悪のシナリオが、国内で新たな変異株が誕生することだ。国境を越える感染症の広がりを研究する渡航医学に詳しい、関西福祉大学教授の勝田吉彰さんが、変異株が生じるメカニズムを解説する。
「変異株というのは、2週間に一度ほどの割合で出現します。主に人体の中でコロナウイルスが増殖する際に偶発的にできる。ウイルスの遺伝子は長い鎖状に3万個のアミノ酸が組み合わさっているのですが、コピーする際に、その一部にミスが生じます。“ネジが一つ間違った不良品”のため、そのほとんどは消えてなくなるのですが、まれに違う部品を持って、かえって高性能化したウイルスとして生き残るのです。免疫逃避といって、抗体をすり抜け、感染や重症化リスクを高める力を持つ場合もあります」
前出の上さんは、こう補足する。
「さまざまな変異株の“悪いところどり”をした混合株発生の可能性も否定できません。五輪をきっかけに、日本を中心に世界で感染者が増えれば、それだけ変異株が出現する確率が高くなるのです。これまでの変異株は出現して約3カ月で流行しています。東京五輪で新たな変異株が出現すれば、冬がもっとも危険な季節になるでしょう」
変異株であっても、ワクチンで感染を防げたり、重症化を防げたりする可能性がある。65歳以上の人には比較的接種が進んできたが、接種ができていない50代、40代の重症者が増えているという。
“東京五輪株”に殺されないために、五輪の競技に熱狂するだけではなく、政府がとる感染防止対策を注視し続けよう。
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