2021年9月2日 15:50
「看護師日雇い派遣」解禁の裏に“実体ない団体”のニセ議事録
看護師に限らず、日雇い派遣は「労働者の雇用が不安定になる」ため、’12年に一部の例外を除き禁止されたのだ。看護師の“日雇い労働”が禁じられてきた理由を佐々木さんはこう話す。
「看護の質が落ちるためです。医療や介護は医師や看護師、介護士や理学療法士などのチームで動くので、その日限りの日雇いでは、連携がとれずミスも起きかねない。また、看護師の労働環境の悪化も懸念されます。ただでさえ医療や介護の現場の労務管理はずさんなのに、日雇いは立場が弱く不当な長時間労働を強いられやすい」
このような懸念もあって、厚生労働省ももともと“日雇い解禁”に消極的だったのだが……。
「解禁に動きだしたのは’18年5月。内閣府が企業や団体などから政策提案を受ける“規制改革推進会議”に、日本派遣看護師協会というNPO法人が看護師の日雇い派遣解禁を要望したことが始まり。
しかし、法人登記によるとこの協会が設立されたのは、要望が出された2カ月後の’18年7月。さらに、協会の住所には事務所の実体はありませんでした」(政治部記者)
実際には行われていない架空の会議の議事録を作成し、内閣府に提出していたことも、国会の場で明らかになっている。