2021年9月28日 15:50
コロナ禍の保健所の過酷さを後世に 79歳女性映画監督の奮闘
映画『終わりの見えない闘い』より、保健所のミーティングの様子
「撮影は今年の3月まででしたが、3月以降に感染がさらに拡大して。もっといろんな矛盾や大変さが見えてくるだろうから撮り続けたかったんですけれど、4月から新年度で年度替わりです。保健所の体制も変わるものですから、そこまで撮らせてくれと言えませんでした」
猛暑が去り、涼しさを感じられるようになった9月1日。東京の新規感染者数がまだ3,000人を超えていたこの日、数々のドキュメンタリー映画を手掛けてきた宮崎信恵監督(79)は本誌取材にそう答えてくれた。
宮崎監督は、新型コロナウイルス感染症の対応に追われる東京都中野区保健所に1年近く密着したドキュメンタリー映画『終わりの見えない闘い―新型コロナウイルス感染症と保健所―』をこのほど完成させた。
これほど長期にわたって保健所をカメラに収めた作品は例がないという。そこには、保健所が行政機関であることから撮影の許可を取ることが難しいということが理由の一つとしてある、と宮崎監督は言う。そして、もう一つの理由は――。
「保健所は“絵にならない”のです。医療現場の映像はけっこうたくさんありますよね。