2021年10月24日 06:00
還暦過ぎてホテル社長に「女は教育不要」を跳ねのけた元専業主婦
社員に指示する薄井さん
「清掃済みの部屋と、そうじゃない部屋は、どこを見てチェックしますか?」
開業間もないホテルの、真新しくシンプルなフロントデスクで、同ホテルの社長を務める女性が、パソコンのモニターをのぞき込みながら、こんな質問をしていた。
問いかけられた若い女性スタッフは、緊張した面持ちで「それは、こちらで……」と、少しぎこちない仕草でパソコンを操作している。
「なるほど、そうね、ここで見るのね。ところで、なんでこの2つの部屋は、表示が『ダーティ(未清掃)』のままなの?」
社長はモニターを指さし、問いただす。女性スタッフは「今朝、チェックアウトした部屋だと思いますが、表示がそのままの理由は……、わかりません」と、少々しどろもどろだ。聞けば彼女、入社してまだ1週間だとか。社長を相手に、硬くなるのも無理はない。
「そう、今日チェックアウトした部屋ね。
じゃ、その表示については、誰に確認したらいい?」
女性スタッフは「それは……、早番のかたに」と答えるのが精いっぱい。すると、それまで厳しいまなざしを彼女に向けていた社長の顔に柔らかな笑みが。
「そうね。では、私とあなた、2人で確認しましょう。