幸運の独り占めはNG 江原啓之の幸せ呼び込む“30%返し”のススメ
今年7月、静岡県熱海市で発生した大規模土石流災害。その甚大な被害を憂えた江原啓之さんは、このたび義援金2000万円を熱海市に贈呈。「人のためにすることは、やがて自分に返ってくる」という江原さんに、幸運を呼び込む法則について聞きました--。
「ようやく熱海のお役に立てる日が来ました」
そう語ったのは、10月8日、熱海市役所を訪れた江原啓之さん。7月に伊豆山で発生した大規模土石流災害への義援金2000万円を齊藤栄市長を通じて贈呈。住む家を失い、いまだ不自由な生活を余儀なくされている被災者たちに思いをはせた。
「忘れ去られることが最も怖いことなので、支援は継続して行っていきたいと思います。特にこのたびの土石流災害は、自然災害ではなく“人災”によるもの。
『熱海は怖いところ』という誤解を払拭したいのです。熱海が全て流されたわけではなく、みんなで頑張っているのでぜひ観光にも来ていただきたいです」
本誌での既報のとおり、一昨年、同市に完全移住した江原さんはこの地に親しみ、スピリチュアリズムの学び舎を開講。以前のインタビューでは「人生のなかで今が最も充実した日々」と語っていた。そんな地で起きた大災害を憂えて、自分にできる支援をしたいと動いたのだ。その貢献に齊藤市長も感謝の意をこう示した。
「熱海にはセレブと呼ばれる方が多く住んでいますが、江原さんのように溶け込んでいる方はなかなかいない。いただいた義援金は被災した方々にしっかり届けます」
■損して得取れ。よき行いは返ってくる
実は江原さんは数十年前から災害や貧困、病気などに苦しむ人たちへの支援を行っており、その寄付金は総額1億円を超える。
お金の話というと眉をひそめる人も多いが、スピリチュアリズムの考え方では、お金と向き合い、大切に扱うことこそ幸せに通じる近道だという。そこでコロナ禍で経済的に苦しむ人が多い今、江原さんに幸せになるための「生き金」を使う心得について聞いた。
【1】享受する幸運は「70%」にとどめよう
まず、寄付金や義援金を贈る行為は、きれいごとではなく「恩返しであり、自分のためでもある」と江原さんは言う。
「お金が舞い込んでも、なぜかすぐに通り過ぎていくという人がいます。それは幸運をひとりじめしようとするから。享受する幸運は70%にとどめておくべきという法則があります。自分の境遇が許すなら30%は困っている誰かのために使うことが理想。それが社会への恩返しになるのです」
この「幸せの前納金」を世の中に納めることを怠ってしまうと、お金は身につかないのだという。
確かに30%を負担に感じる人も多いと思うが、「損して得取れ」という言葉のとおり。よき行いは必ず返ってくると江原さんは語る。
【2】寄付で大切なのは金額ではなく「痛み」
では、寄付金や義援金の適正金額はあるのか。
「重要なのは、金額の多寡ではありません。痛みを伴ってまでその行為ができるかどうかです。イエス・キリストが弟子に言った言葉に、『金持ちが天国に入るのはラクダが針の穴を通るより難しい』というものがあります。たくさんお金を稼いでいる豊かな人にとっての1万円には痛みは伴わず、そこに愛は宿りません。一方で、貧しい人が同額の献金をしたならば、それは善行です。
マザー・テレサも『痛むほど人を愛しなさい』と教えてくださっているでしょう。問題は金額ではないのです」
【3】誰かを幸せにすることが「働きがい」になる
次に、働いて稼ぐお金にはどんな意味があるのか。コロナ禍ということもあり、「自分が食べるぶんだけ稼げたらそれで十分」という意見もあるが、こうしたスタンスには江原さんは首をかしげる。
「『自分のぶんだけ』というのは『自分さえよければいい』ということであり、それはあまりに利己的な考え方ではないでしょうか。元気で仕事があって働けるのであれば人の2倍も3倍も働いて、さまざまな事情から今は働けず、困っている人を助けてあげましょう。誰かを幸せにすることが働きがいにもなる。“人のため”が自分の幸福につながるのです」
【4】「失う」ことで得られるものもある
最後に教えてくれたのは「因果律の法則」からくる心得だ。この世にはパワーバランスがあり、「失う者は何かを得られる」「与える者はさらに与えられる」といい、江原さんもこの法則に従って生きてきた。
実際、人に裏切られ、多くを失ったこともあったが、「失うことは怖いことではなかった」と受け止めているという。
「私はお金にも仕事にも執着はなく、失ったことを悔やんだり嘆いたりはしません。なぜなら大きな代償を払ったら、次に必ず新たな何かがやってきます。そしてつらく苦しい経験によって必ずたましいは磨かれ、人間的にも成長しているものです」
逆に、失ったことで誰かを恨んだり怒ったりする行為は「悪しきカルマ」を生み、やがて自分に返ってきてしまうので厳禁だ。
「許して前に進むことが大事です。恨んでいる時間は無駄でしかありません」
■苦しいときは「感謝」で明日への種まきを
このコロナ禍で仕事を失い、苦しんでいる人も多いため、軽々しくは言えないと前置きしながらも、あえて「しがみつかない」生き方をオススメするという江原さん。そして、失業期間であっても腐ることなく「今、何ができるか」を考え、いずれ“人のため”となる種まきをしながら前向きに進めば、いつか道は開けると諭す。
「今、つらいと感じているなら、『ああ、これから飛躍するのだな』ととらえましょう」
そう言われても、「今はどう頑張っても寄付したり人を助けたりする余裕がない。
むしろ与えられるばかり」という人もいるだろう。そんな人にはこんなアドバイスを贈ってくれた。
「そういうときは、言葉で感謝の気持ちを贈るだけでもいいのです。いただきものをしたら『ありがとう』を2回伝えましょう。心からの感謝を伝えるために、お礼状をしたためるのもよい種まきになります。そして、『いつかは人のためになりたい』と願って頑張れば、たましいは大きく成長し、いずれ願いはかなうでしょう」
大切なのは、それぞれの境遇で最善を尽くすこと。“人のため”は“自分のため”ととらえ、今こそ上手に「生き金」を使って幸せを呼び込もう。