食前に「常温炭酸水」を飲むと…脳が錯覚して食欲が抑制できる!
炭酸水で痩せよう
近年、愛好者が増えている炭酸水。「シュワシュワしておいしい」などの理由で人気になっている。実は炭酸水は多くの健康効果を持っているのだ。とっておきの活用法を管理栄養士に聞いたーー。
「炭酸とは炭酸ガス(二酸化炭素)のこと。この炭酸ガスが水に溶け込んだものが『炭酸水』です。炭酸は天然炭酸と人工炭酸の2種類がありますが、天然炭酸はくみ上げ時に二酸化炭素をすでに含んでいて発泡しているもの。一方、人工炭酸は採水後に二酸化炭素を圧入しているもので、炭酸水として店舗に並ぶ多くはこちらです」
そう話すのは、管理栄養士の新生暁子さん。
今回の炭酸水の活用法は、天然の炭酸水でなく、コンビニなどに並んでいる炭酸水でOKだ。炭酸水の効能として新生さんはまずダイエットを挙げる。
「ダイエットとは、その人に合った健康的な体を手に入れること。そこでおすすめしたいのが、炭酸水を活用する方法です。食事の前に炭酸水を飲んで体内に取り込むと、胃が膨らみます。すると脳が満腹感を得、食欲を抑えることになり、食事量がコントロールしやすくなります。バランスのよい食事に炭酸水を利用すると、より効果的です」(新生さん・以下同)
ただ、飲み方にはポイントがある。それは炭酸水の量だ。
「500ミリリットルの炭酸水を飲むと、炭酸水と炭酸ガスで満腹中枢が刺激され、食欲が抑制できましたが、100ミリリットル程度を食前や食事中に飲んだ場合は、胃が刺激されて逆に食欲が増進されたという結果が実験で分かったそうです。炭酸水をある程度の量飲むことが必要なわけですが、しかし、食事ごとに500ミリリットルを一気に飲むのはとても大変ですよね。実は、食前に300ミリリットル程度の炭酸水を飲むだけでも、ダイエット効果が期待できるのです」
なかにはダイエットを急ぐあまり、炭酸水を多く飲めば効果が高いのではないかと、たとえば、一気に1,500ミリリットルもの炭酸水を飲めばいいと考える人もいるかもしれないが、これは危険行為だ。
「血中に炭酸ガスが一度に増えると、炭酸酩酊といって酔っ払ったような状態に陥ることも報告されています。けれども、1日に何度かに分けて1,500ミリリットル程度を飲むのならば大丈夫です」
飲むポイントはもう1つある。
「炭酸水は冷蔵庫で冷やしたほうが炭酸濃度は高くなります。冷やしたほうが飲みやすいのですが、炭酸濃度が高くなると胃を刺激して食欲が増してしまいます。ダイエット効果を期待するなら、20~25度の常温で飲むことが重要です。
常温では飲みにくいという人はレモンを入れたり、ハーブ(カモミール、レモンバーム、ミントなど)を入れるだけでも飲みやすくなります。風味が変わり、リラックス効果やリフレッシュ効果もあります」
【+ハーブでリラックス】
〈材料〉1人分
炭酸水…150ミリリットル
ハーブ…ひとつかみ
※ハーブの量はお好みで
【+レモンでリフレッシュ】
〈材料〉1人分
炭酸水…150ミリリットル
レモン…1/2個
※レモンの量はお好みで
■血管を拡張して血液の流れを促進、体内の老廃物を一掃
また、炭酸水はお通じにも効果を発揮する。寝起きに炭酸水をコップ1杯飲むと、水分補給とともに、血流を活発にさせて大腸まで刺激する。その刺激で腸の血行がよくなると、便を押し出すぜん動運動も活発になるので、便秘解消につながるのだ。
「さらにデトックス効果も。老廃物を排出するのも大切なダイエット要素。炭酸ガスには血管を拡張し、血液の流れを促進する作用もあり、体内の老廃物を一掃する効果も期待できます」
食前に飲むほかにも、炭酸水にはよい活用法がある。それは炭酸泉に入ることだ。
国の温泉法によると湯1リットルに対して炭酸ガスを250ppm以上含んでいるものが炭酸泉とされる。湯治に行けば、天然炭酸泉に入ることができるが、天然炭酸泉でなくても、人工炭酸泉ならスーパー銭湯、医療施設や介護施設にもある。
「人工炭酸泉は、循環器系の病気に対する効果も認められています。高血圧や心臓病などの改善が見込まれてもいますね。さらに、炭酸ガスが自律神経のバランスを調整し、血行を促すことで免疫力が高まると注目されています。また、冷えや肩こり、腰痛、関節痛、リウマチなどの痛みを和らげる効果もあると言われています」
■さまざまな効果を持つ炭酸浴を自宅で体験する方法が
また、免疫力の低下を感じるときに活用したいのが炭酸浴なのだ。
「免疫細胞の一種、ナチュラルキラー(NK)細胞は、ウイルスや細菌をいち早く見つけて撃退します。入浴して体温が上がると、体に異常事態が起こっているととらえ、NK細胞が増えるのです。
お湯の温度が39~40度と、少しぬるめでも、炭酸浴なら15~20分も入れば、体の負担も少なくNK細胞が活性化します。週2回の炭酸浴がおすすめです」
この効果を自宅で体感するよい方法がある。
「炭酸水を使うことです。市販の炭酸入浴剤を1個使えば100~150ppm程度の炭酸濃度での入浴が楽しめますが、そこに炭酸水を入れれば、さらに濃度がアップします。ポイントは、湯に溶け込みやすくするために、1リットルくらいの炭酸水をキャップしたまま約40度の湯で温めること。これをお湯に注ぎ、入浴剤を加えましょう」
このように多様な健康効果を持つ炭酸水。あなたもぜひ毎日の生活に取り入れて、健康を保ってほしい。