2021年12月5日 06:00
ついに完成! 蛭子さん“最後の絵画展”最初の一枚「東京に負けた男」
「金と自由は欲しいけど、何もしたくない──」を貫いてきたタレントで漫画家の蛭子能収さん(74)。2020年夏に認知症を公表した後も、その“人生哲学”はまったく変わらない。絵を描くよりもテレビの仕事のほうが楽だしギャラもいいと言い続ける蛭子さんに突如湧いた「絵画展プロジェクト」。果たしてプロジェクトは成功するのだろうか……。(第8回/全10回)
スケッチブックに体をグーッと寄せながら、蛭子さんは黄色のサインペンで色をつけていく。どこか無骨だった絵が、色遣いが独特な蛭子カラーで彩られていく。
黄色のペンを置くと、蛭子さんは消しゴムを手にした。
鉛筆を使っていないのに、蛭子さんはサインペンで描いた線になぞって消しゴムをかけていく。
まるで鉛筆で描いた下絵を消すように……。
疲れが出て、なにか勘違いしていると思った「蛭子能収の人生相談」担当記者の私・山内は、
「消しゴムを使う必要はありませんよ」
と声をかけたが、蛭子さんは、ずっと消しゴムを使い続けている。
40年来の盟友・根本敬さんがこう声をかけた。
「いいよ、いい感じ。消しゴムで、黄色がぼやけて、紙に馴染んでくるね」
うーん、蛭子さんと根本さんのコンビは、やはり絶妙だ。