2021年12月8日 15:50
中村吉右衛門さん 跡継ぎ不在で娘婿・尾上菊之助と孫が継承する “2つの大名跡”
■生前、「80歳で『勧進帳』の弁慶を務めたい」と…
吉右衛門さんの唯一にして最大の心残りは三代目中村吉右衛門となる跡継ぎがいなかったことだった、と語るのは後援会関係者だ。
「菊之助夫妻にもし2人目の男の子ができたら播磨屋の養子に……という話は、和史くんが生まれてからすぐくらいからあったと聞いています。吉右衛門さん本人がいちばんつらかったと思います。吉右衛門さんご自身が、吉右衛門の大名跡を途絶えさせないため“先代白鸚さんに2人男の子が生まれたら、次男は養子に出す”と、生前からの約束事で二代目吉右衛門を継いだ身。娘さん4人に恵まれましたが、四女・瓔子さんが産んだ丑之助さんは誰よりも溺愛していました」
娘婿・菊之助も同じく人間国宝・菊五郎を父に持つ。
「和史くんは丑之助を名乗っている以上、将来は大名跡・尾上菊五郎を襲名する身。播磨屋にはなりえません。吉右衛門は長期の空位となる可能性があります。
しかし、吉右衛門の血を継いでいる歌舞伎役者は丑之助しかいない。菊之助さんが懊悩して考え抜いた結論が、義父の芸の継承。音羽屋を礎にしたうえで、播磨屋流も学ばせていくのではないでしょうか」(前出・後援会関係者)