80代になったら「子供や孫への援助」は卒業しよう!
「ある調査では60代の40%が『終活を始めたい』と思っているそうですが、実際に行動に移せている人は多くありません。それは、やることが多すぎて、どこから手をつけていいかわからないから。また、『終活』というと『エンディングノートをつける』『自分の財産を処分する』など、なんだか“人生の幕引き”というネガティブな印象があることもその理由かもしれません。ですが、じつは『終活』は、人生を最期まで自分らしく生きるためのポジティブな活動なのです。ほんとうに必要なモノ、やりたいことを取捨選択することで、これからの人生をより豊かにする。そのための『人生整理』だと考えてみてはいかがでしょう」
そう語るのは、生前整理普及協会代表理事の大津たまみさん。大津さんは、30年以上、片付けのプロとして1万件以上の現場で片付けや清掃法を指導してきた。
ここ数年、「終活」という言葉を耳にする機会が増えてきたが、まだどこかひとごとのようにとらえている人も多いことだろう。
「人生整理」を始めるベストなタイミングは、夫の定年時や子どもの独立時。年齢に応じて順番に手をつけるとはかどるという。
ここでは、80代で具体的に「捨てる/残す」べきモノについて大津さんに教えてもらった。
「過度なダイエットはストレスのもと。食事制限をしなくても、年齢とともに自然とたくさんは食べられなくなります。この年代に入ったら、好きなものをおいしいと思って食べることが大事です」
毎年、自治体で無料の健康診断を受けていれば、高額な人間ドックなども不要だそう。また、孫や子どもへのお年玉などの援助も“卒業”しよう。
「その代わりに思い出の品をプレゼントして、形見分けしておく方法もあります」
■捨てるモノ
【健康への過剰な配慮】
ダイエットはやめて、栄養バランスを優先した食事を取るよう心がけて。
毎年自治体の無料健診を受けていれば高額な人間ドックも不要。
【子どもや孫への援助】
孫たちが大きくなっていれば、お年玉はいらなくなる。子どもや孫への金銭的な援助はやめて、その分長生きリスクに備えて貯蓄しよう。
【貴重品や思い出の品】
大事にとっておいたモノは、子どもや孫たちにプレゼントすると喜ばれることも。
残すモノについて、大津さんはこう語る。
「施設に入るときを想定し、持参するモノを選別しておくといざというときに便利です。施設に持っていく『思い出の箱』に1つにまとめておきましょう」
親の看取りの際に感じたことを基に、終末期の医療や自分の葬儀のやり方などについて、具体的な希望を残しておくのも80代の責任。葬儀で使う「遺影」も自分のお気に入りの写真を用意しておき、家族に託しておこう。
■残すモノ
【「思い出の箱」を1つだけ】
施設に入るときを想定して、持参する大切なモノは「思い出の箱」にまとめよう。
【遺影】
スマホのカメラで映した写真から、お気に入りのカットを選びプリントにしておこう。
【通帳、証書類の保管場所】
銀行の通帳や保険証券を「万が一ファイル」に保管して、入院時の身元保証人になってくれる人と置き場所を共有しておくこと。
【死後の事務を執り行う人】
自分が死んだ後、葬儀の喪主を誰がやるのかも含めて、死後の手続きを執り行う人を決めておき、事前に打ち合わせをしよう。
しっかり備えれば、憂いもなく穏やかな毎日が過ごせるはず。