世良公則語る『カムカム』歌唱シーン秘話「あえて生歌にこだわった」
音楽業界が置かれた現状を憂える世良。音楽の力を信じている
歌によって人生が変わる。そんなことは現実にはありえないと思っていた人も、定一の歌を聴いて考えを変えたのではなかろうか。世良が役に込めた思いとはーー。
「予定調和の演技になってしまいそうで嫌だったんです。出会った戦災孤児と、親子のような関係になって、将来その子が安子の娘・るい(深津絵里)と結婚する錠一郎(オダギリジョー)になることも、まったく知りませんでした。でも、台本を通して人生を共有していたからなのか、初めてオダギリさんにお会いしたとき、まるで幼いころから知っている感覚に。
オダギリさんも同じ思いだったみたいで『感慨深いものがありますね』と、懐かしんでくれたんですよ。妙な感覚です」
そう話すのは、連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK)で、ジャズが流れる喫茶店のマスター・柳沢定一を好演した、世良公則(66)。“一瞬、一瞬”を演じるために、先々のストーリー展開は、あえて知ろうとしなかったという。
第1部で、ヒロインの安子(上白石萌音)と稔(松村北斗)の恋の行方を見守り、戦争が始まると息子が召集され、敵性音楽であるジャズを流したことで迫害を受ける定一。