2022年3月13日 06:00
とよた真帆語る大瀧詠一の偉大さ「『君は天然色』のイントロ聴くだけで“いいことありそう”と思えた」
『A LONG VACATION』のおしゃれなジャケットは、今でも部屋のインテリアとして飾っているほど。アルバムに入っている『君は天然色』(’81年)は、イントロを聴くだけで“今から、何かいいことがありそう!”って気持ちになりますよね」
そんな気持ちにさせてくれる音楽が、中学時代のとよたさんの支えになったという。
「小学生のとき、父の事業が傾き、それからは母が一人で3人の子どもを育ててくれたんです。私は小学校から学習院に通わせてもらっていて、学費も大変。母は周囲から『そんな無理をしなくても』と言われていたみたいですが……」
家計が苦しいことは肌で感じていたため、旅行に行きたいとも、洋服が欲しいとも思わなかった。
「よく覚えているのは、ラジカセを持って、当時住んでいたマンションの屋上に上り、緑の多い公園を見下ろしながら、TOTOの『アフリカ』(’82年)を聴いたこと。“未来には希望が待っている”って思えたんです。今でも『アフリカ』を聴くと、当時の切ない気持ちを思い出します」
高校生になると、社会人になった姉が週末、夜遊びに出かける姿を目にするように。
大人の世界への憧れも強くした。