くらし情報『足の骨ないアーティスト語る“呪縛”愛娘の「好き」が背を押した』

2022年4月3日 06:00

足の骨ないアーティスト語る“呪縛”愛娘の「好き」が背を押した

「私、思わず笑ってしまって。そっか、彼女にとって私の足は硬いのか、そりゃそうだよなって。あれはちょっと面白かったな。そういう経験を経て最近は、自分の体を素直に楽しめるようになってきた。以前はオブジェと一緒に、メークにウイッグ、それに奇抜な衣装で『自分は作品世界を説明するためのマネキン』という感覚で写真におさまっていたんです。でも最近は、もっとストレートに作品に登場することも増えました」

銀座で展示していた新作『leave-taking』では、長時間露光という撮影法を採用。写真の中、オブジェに囲まれた彼女の体は透け、消え入りそうにすら見える。

「呪縛から解放されたんですよ」

朗らかに笑った片山さんは、改めて、長女に話しかけた。


「ねぇ、ヒマちゃん、ママの足とか手、どう思う?」

長女は少しモジモジしながら小声で「ワニさん」と返した。

「2本指の私の手を、彼女は『ワニさん』って呼ぶんです。彼女なりに好感を持ってくれてるってことだと思うんですが……。ヒマちゃんはワニさんの手、好き?」

母の質問に、今度は満面の笑みを浮かべた陽毬ちゃん。力強くうなずくと、元気な声でこう続けた。

「いちばん好き!」

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