2022年4月3日 06:00
足の骨ないアーティスト語る“呪縛”愛娘の「好き」が背を押した
■娘が友達と仲よくしているのを見ると、涙が出るくらいに嬉しいんです
17年、片山さんのおなかには、新しい命・陽毬(ひまり)ちゃんが宿っていた。陽毬ちゃんの父=片山さんのパートナーは音楽家・浩朗さん(51)。
「妊娠がわかって、私自身は『やったー!』って、超嬉しかったんです。だけど、家族や浩朗さん、ごく近しい友人たち以外の人からは『え、産むの?』という声ばかりで。『生まれてくる子に障害があったらどうするの?』『子育てって大変で、その体じゃ苦労するよ』なんてことも言われました」
もちろん、多くは善意ある、自分を心配してくれる声ということは理解していた。だが、言われるたび片山さんは、打ちのめされるような思いだった。
「それまでも、ひどい仕打ちに散々あってきました。障害があるというだけで、選択肢の幅が驚くほど狭められてしまう経験も。
だけど、妊娠や出産という人間の基本的なことまで、自由に選択させてもらえないのかと、愕然としたのを覚えています」
実際、片山さん本人も不安な気持ちがなかったわけではない。
「でも、仮におなかの子に障害があったとしても、なんとでもなると思った。それに、その心配というのは、どんな母親でもするものだとも。