2022年4月3日 06:00
9歳で『足を切る』と決め…義足のアーティスト「母に恨みない」
■母を恨めしく思ったことはない。しかし母の涙を見たときは心の中で謝罪した
片山さんは1987年7月、埼玉県で生まれ、群馬県で育った。先述のとおり、生まれてきたときから彼女の四肢には疾患があった。
「正式な病名は、先天性脛骨欠損症。健康な人の足は、膝下に脛骨と腓骨と2本ずつ骨がありますよね。でも、私は太いほうの骨、脛骨がない状態で生まれて」
母は未婚のシングルマザー。片山さんいわく「母はとても強い人」。娘が物心つくころから病気や体のことについて、しっかり教え諭していたという。
「母もすごく勉強したみたいで。自分が読んだ本を私にも読み聞かせてくれた。『こういう障害がある人がいる』とか、『こんな病気がある』と。そして『それは誰が悪いわけでもないのよ』とも」
だから、自分の体のことで、母を恨めしく思ったことはない。
「だって『なんでこんな体に産んだのよ!』なんて文句を言ったところで、なんにもならない。足や指が生えてくるわけじゃないから」
幼いころの片山さんは足に補装具を装着、なんとか歩行もできた。
「でも、成長してくると細い腓骨だけでは体を支えきれなくなって。医師は『この先、車いすにするか、足を切断し義足をつけるか。