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“松竹梅”の価格設定に注意!日常に潜む「無駄使い」の罠7つ

女性自身
“松竹梅”の価格設定に注意!日常に潜む「無駄使い」の罠7つ


コロナ禍が少し落ち着き「ストレスを発散したい」人が多いだろう。だが、コロナ不況が続くなか、“ムダ遣い”はしたくない。

「買い物は『選択』の連続です。何かにあおられ“選択させられた”買い物は危険です」

そう警鐘を鳴らすのは、行動経済学を研究する橋本之克さんだ。

「売り手は私たちの物欲を刺激しようと、行動経済学などによるさまざまな方法を駆使します。私たちが何も知らず、売り手のワナにはまり続けると、買い物の9割がいらないムダ遣いになってしまうかもしれません」(橋本さん・以下同)

ムダ遣いのワナを見抜けるように、行動経済学が指摘する“誘導パターン”を教えてもらおう。

【ワナ1】「返品無料」のコピー

ネット通販は便利だが、洋服や靴だと微妙なサイズ感や色、風合いなどがわからないのがネックだ。だが返品無料だと、きちんと吟味せず気軽に注文する人がいる。


「商品が届き試着すると、それは“自分のもの”に思え、『せっかく手に入れたものを手放すと損』だと感じるようになります」

その結果「損したくない」人ほど、多少の不満は大目に見て買う羽目に。返品無料のコピーに乗って、安易に注文してはいけない。

【ワナ2】「定期購入・サブスク」

定期購入やサブスクには、初回無料や通常価格より安いなどの特典がある。「同じ買うなら安いほうがいい。試してダメなら解約できる」と思って契約するが……。

「人は慣れた状況を好み、変化を嫌います。いったん始めると『ここでやめたらもったいない』などと現状を維持したい気持ちが強く、買い続けてしまう人が多いです」

また、解約手続きは複雑で「今は面倒だ」と先送り。そのうち、契約自体を忘れてしまうことも。


「使い放題の元が取れるくらい使い倒していない定期購入やサブスクは、利用料の払い放題でしかありません。今すぐ解約を」

【ワナ3】「クーポン」の損失

「500円クーポンと500円引きは同じもののように感じますが、本質はまったく違います」

クーポンはただの紙切れでも“自分のもの”。使わないと自分のクーポンを失った損失感を味わう。いっぽう値引きは、使ったときにお得な喜びを感じられるものだ。

「人は得する喜びより、損する悲しみを大きく感じます。同じ500円でもクーポンを失って損する悲しみは、値引きで得する喜びの2倍以上です」

売り手はこの心理をついてクーポンを発行するが、クーポンを失ったとしても、自分のお金が減るわけでも損するわけでもない。何が損なのか、冷静に判断しよう。

【ワナ4】「安いから」という判断

特売商品を見つけると、「安いから」とつい買ってしまう。
誰でも経験があるだろう。

「特売商品を買わないことは、安く買えるチャンスを逃すこと。だから『買わないと損』と思うのでしょう。でも、その商品が必要ないなら、いらないもの。買わなくても損ではありません」

値段を第一の判断基準にするのは、よい買い物とはいえない。必要性や好みなどを基準に自分で選択して、好きなものに囲まれた幸せな暮らしを手に入れよう。

【ワナ5】「ついでにこれも」思考

たとえば5万円のコートを奮発して買ったとき、5,000円の手袋をすすめられ、ついでに買ってしまう。ふだんなら「手袋に5,000円は高い」という金銭感覚を持っていても、なぜかはまってしまうワナだ。


「高価な買い物のついで買いは、損に対し鈍感になります。複数の商品を買ってお金を何回も払うより、まとめて1回で払うほうが、お金を払う=損する痛みが小さいと感じるのです」

大きなお金を払うほうが痛みが小さいとは不思議だが、こうした心理を理解して、セット販売やまとめ買いにブレーキを掛けよう。

【ワナ6】「ポイント10%還元」

ポイント10%還元と10%引き、どちらも同じと思っていたら大間違いだという。

ポイント10%還元の場合、1万円の買い物に1,000円分のポイントが付く。このポイントを次回1,000円分の買い物に使うと、1万1,000円分の商品を1,000円引きの1万円で買ったことになる。割引率は1,000円÷1万1,000円=9.1%だ。

つまり、1万円の商品を1,000円引き、9,000円で買える10%引きのほうがお得なのだ。

「ためる楽しみのあるポイントは愛着がわき、高い価値を感じますが、実は割引ほどお得ではありません。
売り手の作戦の裏側を知れば、もう迷うことはないでしょう」

【ワナ7】仕掛けられた「3択」

うなぎ店などによくある松竹梅など、同じメニューでもランクが違う3種類があったら、「とりあえず真ん中」を選ぶ人が多い。「人は極端を避ける心理が働き、中間を選びたくなるものです」

これには行動経済学の有名な実験がある。価格も品質も低いAと、価格も品質も比較的よいBの2種類だと、選択はほぼ半数ずつに分かれる。

ところが、さらに価格も品質も高いCを加え3種類にすると、中間のBを選ぶ人が57%と圧倒的多数になる。ちなみに安いAは22%が、高いCは21%の人が選んだ。

「売り手はこの心理を利用して、中間の竹を売るためにあえて高価な松を設定することがあります」

店側から仕掛けられた3択だ。

「選ぶときは3択に乗らず、ほかの店やこれまでの経験と照らし合わせて決めましょう。自分で選んだ梅がおいしくてお得だと満足できたら、それがベストな選択です」

【PROFILE】

橋本之克

昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。
行動経済学に詳しく、『9割の買い物は不要である』(秀和システム)など著書多数

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