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泉房穂市長 出生率アップのキーワード語る「二つの不安を取り除くこと」

女性自身
泉房穂市長 出生率アップのキーワード語る「二つの不安を取り除くこと」


【第一章】明石の泉市長がこども家庭庁に苦言「お金を使ってちゃんとするべき」 から続く

電気自動車企業「テスラ」のCEOであるイーロン・マスク氏(50)の《出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう》というツイートに《“世界の損失”うんぬんの前に、私たち自身の問題として、日本が消滅しないよう、日本の“政治の転換”を図りたい》と反応した明石市の泉房穂市長(58)。

泉市長は前章で「国は少子高齢化対策に本気を出していない」といい、政府が進めるこども家庭庁について「ちゃんとするべき」と苦言を呈している。そこで本誌はこども家庭庁の問題点について、深く聞くことに。すると「改善点は5点セット」と泉市長は答える(インタビューは全4回中の2回目)。

「1つ目は『子供は社会で見る』と発想の転換をすべきということで、2つ目はその考えに基づく組織の再編が必要だということ。3つ目と4つ目はカネとヒトを動かすことのできるような仕組みづくりを徹底するべきということで、最後の5つ目は『国民の期待が高まるような機運に持っていけるんですか?』ということ。今回のこども家庭庁は2つ目ですが、発想の転換もないまま、ちょっとだけ取り組んでいる程度です」

泉市長が国会議員だった当時から、こども家庭庁の話はあったという。

「その時はこども家庭省という名称でしたが、『子供も家庭も支援しましょう』という考えが案を通して含まれていました。
家庭は支援すべきものだから、子供を応援するなら家族もセットで応援しましょうと。

でも今回のは、予算も人も用意していない形だけ。これでは『子供の面倒は家庭がやるべき庁』なわけです。応援対象だった『家庭』が、責任を押し付けられるための『家庭』に意味が変わったんです」

■出産前の面談や、母子検診にも一工夫する理由

泉市長は不必要な責任感を親に与えることが、出生率の低下に繋がると考えている。そのため「2つの不安を取り除く必要がある」という。

「1つ目はお金の不安で、もう一つは“もしもの不安”です。つまり『子供は欲しいけどお金がないから、やっていけないだろうなぁ』と『病気やリストラで働けなくなったらどうしよう』などの不安です。明石市は5つの無料化を筆頭に、この2つに向き合っています。
他にも養育費が支払われず困っている家庭に、市が金銭的に支援しています。また親御さんが病気になった時のために、明石の駅前で預かり保育もしています。ここまでするのは『明石市は市民の親戚です』というイメージを私が持っているからです」

泉市長は「誰1人見放したくないと、真面目に思っているんですよ」といい、こう続ける。

「例えば明石市では、“無戸籍の子供ゼロ”を目指しています。そこで出産前の面談に参加してくれたら、帰りに5,000円のタクシー券を渡しています。もし『5,000円いらないから母子手帳も必要ない』という人は、逆に心配ですよね。この対策をとったことで全ての赤ちゃんをいち早く把握し、その結果、お子さん9人の戸籍取得にも繋がりました」

また、母子検診にも一工夫しているようだ。

「明石市は母子検診の際、生まれた子供、一人一人の顔を全て確認しています。
顔を見せてくれないならば、児童扶養手当を止めることにしていて。これは『実は子供が死んでいました』というケースをなくすためです。厚労省に掛け合って実現しました。

他にも保健指導を担当する保健師の数も、国の基準は1名のところを4名にしました。検診に来ない家には保健師が行き、スーパーの前で見張って待っていることもあります。というか、私が行くこともあります(笑)。そこまでしてでも、寄り添いたいんです」

■“明石の子はみんな自分の子”というイメージ

コロナ禍で収入が激減し、大学や専門学校への学費を払うことができなくなった学生たちの代わりに、明石市は学費の前期分を大学側に直接支払うことにした。総額約6,100万円の学費支援は大きな話題を呼んだ。


泉市長は「大学に電話して、『滞納しとるけど明石市が払うから。やめさせんといてな!』と伝えたんです(笑)」と話す。

「施策が決定するまで、まだ18歳は未成年という扱いでした。法律上は親の同意が必要でしたが、明石市は“同意なしでOK”にしました。例えば親が子供に『働け』と思っていても、本人には『勉強したい』という意思があるかもしれない。子供の気持ちをまず一番に考えました」

「子供のことは社会で」という泉市長の方針は、言い換えると「政治が積極的に、家庭に介入している」ということだ。長らく小さな政府を目標としてきた自民党政権とは、対極の位置にある。
「本気で“明石の子はみんな自分の子”というイメージなんです。
どこかで子供が泣いていたら、自分の子供が泣いてるような気持ちになるんです。どんな子供の涙も見たくないんで……。自分で言いながら、『結構クサいな』とは思いますがね(笑)」

【第三章】泉市長が批判に答える「『明石だけハッピーならいい』とは考えていない」 へ続く

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