2022年5月29日 06:00
ケーキは私の“声”不安症で話せない14歳人気パティシエの挑戦
親子の挑戦は続く
【前編】“場面緘黙症”で話せず不登校…14歳少女が行列店のパティシエにから続く
「初めて来ました。三角屋根、ステキですね。みいちゃんをテレビで見て、応援したいと思ったのもありますが、実は、私自身がここ数日疲れ気味だったので、みいちゃんのお菓子で気分を上げてもらおうと思ったんです」
取材中、市内から訪れたという60代の女性客は、そう話してくれた。
ここは「みいちゃんのお菓子工房」。店長兼パティシエの杉之原みずきさんは、14歳だ。ケーキの販売は月2回、隔週日曜の来店予約制で、不定期で焼き菓子の販売も行う。数少ない開店日には行列のできる店として知られている。
オーナーでもある母・千里さん(49)とともに厨房に立つみいちゃんだが、会話はなく、こだわりの詰まったオリジナルのお菓子やケーキのレシピは、LINEで千里さんに共有し、指示を出している。
みいちゃんが会話をしないのは「場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)」のためだ。不安症の一種で、特定の場所で話すことができなくなる精神疾患。子供に多く、小学生500人に1人の割合で発症するといわれ、みいちゃんの場合も、家庭以外の学校や外では言葉が出なくなる。