2022年6月12日 06:00
日本初の女性テレビカメラマン明かす「美智子さまご婚約直前の極秘撮影」秘話
ですから私は、自分はダメな子だ、と思っていたんです」
また、小学生のころ、「もっと音楽に親しんでほしい」と望んでいた母の期待に応えられなかったことも、心に暗い影を落とした。
「母の期待どおりに音楽の道に進んだ妹と自分を比べたこともありました。妹の中学受験と私の大学受験の日が重なったのですが、母は妹の弁当だけ作って、『ひどいものだ』と笑い話になりました」
今は、そう言ってほほ笑む金子さんだが、幼少期から思春期にかけては劣等感を抱き続けた。
「自分は、世間一般からずれている。いつもそんな葛藤がありました。だから、のちに精神障害者の方たちと出会ったとき、自分も遠くない場所にいると感じたんです」
女性でも、ハンディキャップがあっても、“働く”ことの重要性に気づいたのも、このころだ。
「私が5歳のとき、母は私たち子どもの手を引いて家出したことがあるんです。仕事を見つけるために家政婦紹介所に行ったんですが、職員に『子ども連れじゃ働けない』と一蹴されてしまって」
そんな母の姿を見た金子さんは、「仕事を持って自立しよう」と心に決めたという。
一方で、人の心の動きに興味を持ち始めたのもこのころだった。