スーパーで「賢く買う順」を現役販売員・青髪のテツさんらが指南「野菜売り場は一番最後に!」
野菜売り場が入口近くにある理由とは?(写真:PIXTA)
「この秋は、大根とにんじんの高値が続きそうです。じゃがいもは例年、北海道の秋の収穫が始まるこの時期に価格が下がるのですが、今年は不作のため、値上がりするかもしれません。
野菜だけでなく、原油価格の高騰やウクライナ侵攻の影響で、スーパーに並ぶ食品は値上げ続き。売り場担当者は、加工品、調味料、お酒、お菓子の値上がりは今後も続くのでは……と予想しています。
精肉売り場でも、年々肉の価格が上がり、円安もあって価格高騰が止まらないとぼやいています」
そう話すのはスーパーで働いて10年、青果売り場担当の知識を生かし、“青髪のテツ”としてTwitterで毎週末、野菜の相場予想や旬の情報を発信しているテツさん。
「投稿の目的は、野菜を買いすぎてムダを出してほしくないから。スーパーには、1点でも多く買わせようと、各所に戦略がちりばめられているのです」
戦略=ワナにはまらないためには、まずはスーパーの回り方から見直す必要があるという。
節約アドバイザーで主婦の和田由貴さんも、スーパーで買う順番を変えるだけで節約になり、家庭の食品ロス削減になると話す。
「食品ロスの半数は家庭から。なかでも一番ムダにしているのが野菜で、食品ロス率は8.8%(農林水産省調べ)。月6千円分を買う家庭なら、月に528円、年間約6300円、捨てている計算です。つまり買いすぎなければ、確実に食費は減らせるのです」
そこで2人に、ムダ買いを防ぐ「買う順」を教えてもらった。
■野菜をかごに入れる前に献立のメインとなる肉や魚を決めよう
まずスーパーでは「かごは手持ちするのがおすすめ」とテツさん。かごに商品が入り、重くなっていくことで“ああ、買っているな”と体感できるので、買いすぎ防止になるという。
「スーパー側にはカートを使うお客のほうが購入金額が数十%高くなるというデータがあり、入口でカートを渡してくるお店もあるほど。カートにはお客の利便性だけでなく、スーパーの売り上げを伸ばす効果もあるのです」(テツさん)
ほとんどのスーパーで、入店してまず目に入るのは野菜売り場。
しかし、2人ともここは、後回しにするという。「入口付近に特売の野菜や果物を置くのは、手に取らせようというスーパー側の意識の表れ。お店に入った直後、かごに1つ商品を入れることで購買意欲が増すのです。なので、野菜売り場は値段だけ確認して素通り。まずは肉・魚売り場へ向かいましょう」(テツさん)
和田さんは、店内のチェックから始める。
「最初は何も買わず、スーパーをぐるっと一周。入口近くの平台にある安くて新鮮な野菜、旬の魚や特売のお肉、献立の参考になる総菜売り場も一応チェックします。それから改めて肉・魚の売り場に行き、献立のメインになる特売品をかごに入れるのです」(和田さん)
テツさんも「まず単価の高い肉や魚を決め、そこから献立を考えて、必要な野菜だけをかごに入れるようにすれば、特売に惑わされてムダ買いしてしまうことを防げます」と語る。
献立のメインを決めたら、次は日配品コーナーへ。
「牛乳や卵、豆腐、納豆といった“重くてかさばる”日配品を先に買いましょう。野菜売り場に行く前に、絶対に必要なものでかごを埋めてしまえば、野菜を入れるスペースが少なくなり、買いすぎを減らせます」(テツさん)
■“重さあたりの値段”で野菜を考えるのもコツ
日配品コーナーの合間に、冷凍野菜もチェックしておきたい。旬ではない野菜や、必要なのに値上がりしている野菜は、冷凍のほうが安いことも。
「野菜が高騰しているときは、どちらがお買い得かを考え、冷凍野菜を選ぶのもあり」(テツさん)
野菜売り場に行くのは最後。残った予算で3日分の献立に必要なものだけを買うのが鉄則だ。
「予算の枠から、まずは絶対に必要なメインの食材と日配品を買い、残りを使って野菜を買うというイメージです」(和田さん)
野菜は“重さあたりの値段”で考えるのも節約のコツ。
「たとえば198円だったオクラが98円になっていたりすると、思わず手に取ってしまいますが、“重さあたりの値段”で考えると、キャベツ200円のほうが安い。
“食べる量に対していくら払うか”の観点で、大根や白菜など重いものから考えてください」(テツさん)
総菜売り場には近づかないことが、食費節約には必須とも。
「総菜の価格の大部分は人件費が占めていて、店にとっては40%くらいのもうけが出ます。これは、見方によってはお客のほうが損をしているということ。当然、材料を買って家で作ったほうが安あがりです」(テツさん)
和田さんは、お米や調味料、缶詰などが置いてあるレギュラー棚には、本当に必要なときだけしか寄らないそう。基本は月に1回、まとめてネットスーパーで注文して、届けてもらう。
「レギュラー棚には“○○専用だれ”“有名レストラン監修”といった魅惑的な商品が並んでいて、『どんな味なんだろう』と試したくなるので、見ないのが一番。
お菓子やお酒といった嗜好品も、より安く買えるドラッグストアやお酒の量販店で、食費とは別の“お小遣い”から買っています」
物価高騰の今こそ、スーパーでの買い物ルートを見直して、ムダ買いを回避しよう!