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現役教師が語る“少年革命家”ゆたぼんの影響力「話題にしている生徒を見たことがない」

女性自身
現役教師が語る“少年革命家”ゆたぼんの影響力「話題にしている生徒を見たことがない」

ゆたぼんの公式YouTubeチャンネルより



小3で不登校を選択し、“少年革命家”を名乗りYouTuberとして活動しているゆたぼん(13)。昨年3月に小学校を卒業したが、現在は「中学校に行く気はありませーん!」といい、制服も購入していないと明かしている。

また11月2日、ゆたぼんはTwitterで《10月だけで俺に関するニュースが100本ぐらいあったらしいw》と投稿。《これが少年革命家ゆたぼんやで俺を超える13歳がおったら教えてな》とも続けているが、しかし、それらのニュースに対するコメントを見ると、批判的な内容が目立っている。

さらに、YouTubeの再生回数も低迷中だ。18年12月に公開した動画が500万回以上もの再生回数を記録するなど活動開始当初は好調を維持していたが、ここ3ヵ月の平均再生回数は約5万回ほど。11月12日に公開された動画「【閲覧注意】ヤバすぎるお化け屋敷」の再生回数も、4日で1万回程度と芳しくない。

そんなゆたぼんについて、SNSでは《ゆたぼんの将来が心配》《少なくとも普通に進学就職コースにはもう乗れない》とその将来を心配する声が少なからずある。


そこで元中学校教師で現在は高校教師のAさんに、ゆたぼんの今後について見解を尋ねた。学校で進路指導も行っているAさんは、ゆたぼんについて「今からでも高校に進学はできます」と答えてくれた。

「ゆたぼんの学力がどれほどなのかは判断しかねますが、近頃の高校は定員割れをしているところもあります。ですから、そこを狙えばゆたぼんに限らず誰でも進学できます。

そして高校には『単位の認定は厳しく行い、学力不足なら単位を出さない』という学校もあれば、『受け入れた以上、とりあえず進級と卒業を』という学校もあります。後者なら通学さえできれば高校を卒業できますし、そもそも不登校でも高卒認定をとることができます」(以下、カッコ内はすべてAさん)

■就職に影響が?「ご両親が十分にサポートするべき」

ちなみに進学にあたり、“YouTuberのゆたぼん”であることは内申点に響かないのだろうか。

「これほどネットを騒がしていますから、内申書には書きづらいかな(笑)。というのは冗談で、一般的に内申書は学校のことがメインですし、いいことしか書きません。
ですから、“YouTuberのゆたぼん”であることはマイナスにもプラスにもなりません」

しかし、就職には影響するかもしれないという。

「一般的に高校や大学を卒業するにあたって、就職活動をする人が多い。そして、集団のなかで仕事をすることになります。ただ、ゆたぼんの場合、正直こういった“レールに沿った就職”の仕方は厳しいかなと思います。

YouTuberのゆたぼんとして、これほど世間を騒がしているわけです。就職する際にYouTuberを辞めていても、受け入れる側の心証に影響を与えている可能性があります。

例えばYouTuberのゆたぼんを好きな社長なら、受け入れてくれるでしょう。また、自分で起業するという方法もあります。


今、ゆたぼんは社会のレールから外れた状態です。それにほかの不登校児と違い、一挙手一投足が世間に公開されている状態です。YouTuberとしての活動に親御さんも協力しているわけですから、ご両親があらゆる可能性を踏まえた上で、ゆたぼんをサポートするべきだと思います」

■「みんな、わざわざゆたぼんの話なんてしませんよ」

’19年5月、「琉球新報」のインタビューで「夢は子どもだけが乗れるピースボートで世界中に友達をつくり、戦争をなくすこと」と語っているゆたぼん。

しかし、成人を迎えるまであと4年ということに触れつつ、Aさんは「目標達成の頃には、自分が子供じゃなくなっている可能性が高い」といい、ゆたぼんが少年革命家を自称していることについても疑問を呈する。

「ゆたぼんが、どんなものを“革命”と指しているのかが曖昧です。不登校になってYouTubeで発信していることが革命なのか、それとも今後革命を起こすのか。教育制度を改革したいのか、不登校児のために新しい道を作りたいのか。革命のためのロードマップもよくわかりません」

さらに、Aさんは“革命の厳しい現状”を指摘する。


「あくまで私の学校の話ですが、ゆたぼんの話をしている生徒を見たことがありません。ゲームやメディアなど、楽しい話題がありますからね。それに教員のなかでも、ゆたぼんの話になったことがありません。またYouTubeの世界を覗いても、ゆたぼんに感化された、同じような不登校児を見かけるわけでもありません。

つまり、ゆたぼんの存在によって、教育に何か影響が出ているのかというと“全然ない”ということです。あくまで学校側は、先生も生徒もゆたぼんのことを“不登校という肩書でYouTuberをやっている子”というくらいにしか認識していないと思います。

革命に本気で取り組んでいるのなら、教育業界からも様々な反応があるかもしれません。ただ、これまでも発明王のトーマス・エジソンなど学校に行かなかった偉人がいましたが、学校制度が揺らいだことは一度もありません」

■このままではアンチと触れ合っているだけ

そして、Aさんは「影響力が極めて小さい上に、ただアンチが増えているだけ。
何かを変えようと思うなら、そして何かメッセージがあるのなら、賛同者を増やす必要があります」という。

「賛同者を増やすには、合意形成の仕方が肝心になります。相手と話し合うためには、話し方や伝え方を工夫することが重要です。自分の意見を理解してもらうように周りに伝える。そして周りの意見を踏まえながら、落としどころを探すということです。伝え方によって、相手の受け取り方も変わりますから。

ただYouTubeやSNSを見ている限りですが、『学校に行ってロボットになるな!』など、ゆたぼんは一方的に強い言葉で自分の主張をするだけです。合意形成の経験があまりないのかなと思いますし、周りに自分の考えを受け入れてもらうための練習も受けていないのかなと思います。
だから、賛同者が増えないという現状があるのではないでしょうか」

その上で、Aさんはこう話す。

「革命を起こした歴史上の人物は基本的にインテリです。なぜかというと、彼らは学校に行っていたのである程度の教養があり、合意形成することができ、そうして人脈を作っていきました。そのため理論武装した上で、人を使って勝負することができたんです。

いっぽうゆたぼんは、どうでしょうか。このままでは“楽しくアンチと触れ合っているだけ”で終わってしまうのでは。一人の教育者として、そのことを危惧しています」

最後に、Aさんはゆたぼんの“良いところ”を挙げてエールを送った。

「ゆたぼんには積極性があります。
さきほども話したように、不登校児には無気力だったり不安を抱えていたりする子が多い。家で何もしないまま一日が終わるというケースも見られます。

ですが、ゆたぼんは『学校に行く必要はない!』といい、積極的に行動に移しています。その積極性はいいことだと思います。その特徴を活かして、頑張ってほしいと思います」

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