2022年12月18日 06:00
さまざまな障害のある子供たちのモデル事業を行う「華ひらく」社長・内木美樹さん
「タケちゃん、耳が聞こえてないかもしれません。お名前を呼んでも振り向かないんです」
母親の直感で耳は正常だと思っていたが、不安を捨てきれずに、大きな施設を訪ねた。
■ガラスの壁の向こうにいる人にも障害のある子供たちのことをどう伝えるか、ひらめいたのは……
「自閉症と知的障害があります」
市川市のこども発達センターの医師が告げたのに対して、事前に発達障害等について調べていた内木さんは、間髪入れず尋ねていた。
「知的障害は中度ですか?」
「重度に近い中度です」
その言葉が重くのしかかる。
「自閉症などの障害があっても、各分野で活躍している人もいます。その存在が私の最後の希望でしたが、重度の知的障害と聞いて、一気にくだかれました」
しかし、女性園長は行政と相談して尊くんの担当となる加配保育士を付け、ほかの保護者たちも温かく受け入れてくれたのだった。
「それでも、2歳、3歳と成長するにつれて、ますます尊がじっとしていられなくなったり、大声を上げたりするのを見て、私は、うちの子が園全体の和を乱しているのではと、心配するばかりで。
’16年2月には、弟の謙くんも誕生。
しかし、遊びたい盛りの男の子2人を公園に連れていくのは、いつも夕方5時を過ぎてから。