2022年12月18日 06:00
さまざまな障害のある子供たちのモデル事業を行う「華ひらく」社長・内木美樹さん
「薄暗い公園を見渡し、ほかの子やお母さん方がいないのを確かめてホッとしている自分に気づいて、また泣きたくなったり」
本来の自分らしさをどんどん失っていく内木さんだったが、わが子の障害を受け入れるきっかけは小学校入学と同時に訪れた。
千葉県立の特別支援学校への入学式でのことだった。
「最初の行事の集合写真の撮影で、尊がシャッターが1回下りただけのところで駆け出してしまったんです。私自身は、もう焦ってしまうばかりでした」
すると、周囲の先生たちが、こんな言葉を口にした。
「あらら、行っちゃったねえ~。元気でいいね」
そのやわらかな笑顔を見て、内木さんは、ようやく自分たち母子の居場所を見つけたのだった。
その初めての心の余裕が、彼女にあることを気づかせた。
「ふり返れば、保育園でも、公園でも、みなさんは私たちを受け入れてくれていた。
なのに、自分で見えないガラスの壁を作っていた。
そうか、私こそが、障害のある人たちに対して、偏見や差別の気持ちを持っていたんだと」
そして’20年に入ると、家族はまた大きな一歩を踏み出す。ユーチューブで、尊くんの日常を配信し始めたのだった。名付けて、「はばたけタケル」。