2023年1月26日 11:00
エーザイの認知症治療薬“画期的な薬効”と、これからの“課題”とは
(岩坪先生)
現在使用されているアルツハイマー型認知症の薬には、アリセプト、メマリー、レミニールなどがあるが、いずれも対症療法で神経細胞の破壊は止まらない。いっぽう、レカネマブは症状の進行を緩やかにする効果が実証されている。これが画期的とされるゆえんだ。
処方の対象者は、脳にある程度アミロイドβはたまっているが、神経細胞はそれほど破壊されていない状態にある、認知症前段階の軽度認知障害(MCI)あるいは軽度の認知症患者となる。
「レカネマブは、できかけのアミロイド線維を狙ってアミロイドβを脳から除去する働きをします。治験では18カ月間、レカネマブを2週間に1回静脈に投与したグループと、プラセボ(偽薬)を投与したグループを比較したとき、前者で症状の進行を遅らせる効果が確認されました」(岩坪先生)
治験中に撮影されたアミロイドPET画像からも、レカネマブを使用した患者のアミロイドβが明らかに減少していることがわかったという。投薬によって、認知症の進行を平均で約3年遅らせることが期待できるとされている。認知症治療の未来に希望の灯をともすレカネマブだが、実用化に向けては課題も残されている。