2023年1月26日 11:00
エーザイの認知症治療薬“画期的な薬効”と、これからの“課題”とは
まず気になるのが薬価だ。レカネマブのアメリカでの価格は年間2万8千ドル(約350万円)に設定されている。
「治験薬が承認される場合は保険適用になることが通例です。薬価は国によって算定されますが、アメリカでの価格設定は日本での薬価を決める一つの指標になるのではないでしょうか」(岩坪先生)
国の高額療養費制度が適用されれば、70歳以上の一般所得層(年収156万〜370万円)の場合、患者の自己負担額は年間14万4千円が上限となる。 新薬の課題は、薬の使われ方にもある。認知症治療医でお茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二先生はこう指摘する。
「対象は軽度認知症、早期認知症の患者のみに限られています。軽度・早期は明確な症状が出ていない段階で、診断が難しい状態。
さらに、薬を用いるかどうかを判断するためにはアミロイドPET検査や、脳髄液検査などが必要になる。どちらの検査も、どこの医療機関にもある設備・技術ではありませんし、費用も相当かかります。検査体制や、その費用負担をどうするのかという問題も残されているでしょう」
現状、アミロイドPET検査は1回あたり30万円以上の費用がかかる。もちろん、軽度の認知症やMCIを見抜く医師の専門性も不可欠な要素だ。