くらし情報『処理水の海洋放出に地元漁師が明かす苦悩「国の保証は実情に沿っていない」【12年目の被災地:後編】』

2023年3月9日 06:00

処理水の海洋放出に地元漁師が明かす苦悩「国の保証は実情に沿っていない」【12年目の被災地:後編】

(写真:時事通信)

(写真:時事通信)



住民は戻らず賠償金裁判で溝も生まれた…“見せかけ復興”に被災者が感じる怒り【12年目の被災地:前編】から続く

福島第一原発では、現在も溶け落ちた核燃料を冷やすため、炉内に水を注ぎ続けている。核燃料に触れ汚染された水は放射能除去装置で処理されタンクで保管されているが、今年1月、処理水の海洋放出が、春から夏にかけて開始されることが決まった。

東電は基準値内のトリチウムしか含まれていないと言うが、過去に放射性のヨウ素やストロンチウムが規制基準を超えて処理水に残留していたことが明らかになっており、海洋放出に不安を抱く人は多い。

岸田首相は、昨年、被災地を訪れ「風評被害は生じさせないという決意を持って、対策に政府を挙げて取り組む」と語った。しかし、国が手配する放出による影響への対策は、地元の漁業者の実情に全く沿っていないと、相馬双葉漁業協同組合の今野智光組合長(64)は指摘する。

「’15年に国と東電は“関係者の理解なしに海洋放出しない”と約束しました。今回、私たちがなにをもって理解したと言えるのでしょうか。私どもの組合員の3分の2は沿岸漁業を営む小型船で、操業できるのは第一原発がある沿岸の海域だけ。

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