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大江健三郎さんが死去 最後の長編小説後に本誌が目撃した「神経症療法」病院通い

女性自身
大江健三郎さんが死去 最後の長編小説後に本誌が目撃した「神経症療法」病院通い

18年7月、自宅から都内の大学附属病院へ向かう大江健三郎さん



小説家の大江健三郎さんが老衰のため亡くなったと3月13日に発表された。88歳だった。

’57年に作家デビューした大江さんは、その翌年、「飼育」で芥川賞を受賞。その後も数々の賞に輝き、’94年には川端康成に続いて日本人で2人目となるノーベル文学賞を授与された。

大江さんの訃報に際し、追悼する声が相次いでいる。

映画監督の山田洋次氏(91)は《物事を考える上で、正しい指針を与えてくれる人がいなくなってしまった不安と悲しみに包まれています》とコメント。

また作家の平野啓一郎氏(47)はTwitterで《本当に残念でなりません。大江さんが活躍されていた時代に小説家としてデビューして、謦咳に接したことは、掛け替えのない経験でした。
もっとお話ししたかったです》と綴っている。

そんな大江さんは’13年10月に長編小説『晩年様式集 イン・レイト・スタイル』を上梓。以降、新しい小説を発表しなかったが、’17年7月当時、知人は本誌に82歳の大江さんが執筆できずに苦悩していることを漏らしていた。

「大江さんは『晩年の仕事をどう完結させるのか』と葛藤を抱え続けており、近年は『もう書けないかもしれない』と悩んでいたそうです。大江さんはもともと外に出てストレスを発散させるようなタイプではありません。最近は自宅で好きな日本酒やビールを1人で飲む時間が多くなり、奥様も大江さんの身体を心配しているみたいです」

同年7月下旬、妻たちといっしょに都内の大学附属病院へと向かう大江さんの姿を本誌は目撃。大江さんが訪れたのは院内にある精神神経科施設で、そこには「森田療法」と書かれていた。

森田療法とは、精神科医・森田正馬氏が確立した神経症に対する精神療法。
対人恐怖や広場恐怖などの恐怖症、強迫神経症、不安神経症、心気症などが主な治療対象で、近年では慢性化するうつ病やがん患者のメンタルケアなどでも用いられるという。

森田療法を受けているのは、執筆できない葛藤と関係があるのだろうか。本誌は大江さん本人に話を聞いた。

――大江先生が小説を書けないと悩んでいらっしゃるとお聞きしました。「いえ、悩んでおりません」

――お酒の量が増えていて、奥様もご心配されているとお聞きしました。

「お酒もあまり飲みません。(妻も)心配しておりません。私たちは健全です」

大江さんは毅然と答えると名刺を受けとって、去っていった。


最晩年まで執筆の意欲を失っていなかった大江さん。天国では、どのような作品を書き上げるだろうか。

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