2023年4月2日 06:00
東京・赤羽「三益酒店」の三姉妹 枯れかけた昭和親父の酒店「もう一度、咲かせます!」
そういうお客さんはやっぱり、父が探してきたお酒を、父の手から買いたいんですよ」
よく父から言われていたのが「自分の居場所は自分で見つけろ」という言葉。美保さんは言う。
「父の土俵でお酒を売るのが難しいのなら、自分たちの居場所を作るしかない。お酒を1本1本、売るのは難しくても、もしかしたら、1杯ずつなら売れるかもしれない、そう考えたんです」
’09年、美保さんと由美さんはつてを頼り、営業時間外のカフェを間借りする形で、JR赤羽駅前に曜日限定の日本酒バーを開いた。これが、転機だった。
■父に頭を下げた美保さん。母の口添えもあって三代目社長に就任
「酒屋の仕事と並行してやっていたので。ママチャリの前後のカゴにお酒を山と積んで、バーに通いました。
自作のチラシをポスティングしたり飛び込み営業も。もう、がむしゃらでした」(美保さん)
「調理師学校を出た私がおつまみ作って。そしてブログに『今度はこういうお酒、出しますよ』とか、『このお酒には、こんなおつまみ合いますよ』と。ペアリングのことや、お酒のうんちくなどの情報発信もしました」(由美さん)
地道な努力は、やがて実を結び始める。美保さんが振り返る。