2023年4月10日 11:00
元日本代表平尾剛さんが危惧「“ラグビーの聖地”の消失で文化の継承が止まってしまう」
平尾さんが、「樹齢百年の樹木を伐採してまで建て直す必要はどこにあるのか」と疑問視しているのは、もはやラグビー場とは呼びがたいシロモノになるからだ。
移設・新設される「秩父宮ラグビー場」は、“屋根付き”でハイブリッド芝が敷かれ、ラグビーの試合が行われないときはイベントやコンサートなどに利用される予定だという。
「観客の利便性と快適性を追求したのかもしれませんが、やはり太陽の下で行うのがラグビーの本質。また、天候をどう味方につけるかということも醍醐味で、数々の名試合は天候と共に語られてきました。また、ハイブリッド芝でラグビーの試合をすると、選手がやけどのような傷を負ってしまうことが報告されています。百歩譲って屋根付きのラグビー場を造るとしても、それが75年の歴史を持つ秩父宮ラグビー場である必要はまったくないと思います」
秩父宮ラグビー場は、日本ラグビーの象徴であり“聖地”だからだ。
「秩父宮ラグビー場は、先人たちの思いが詰まった場所です。当時は、お風呂がひとつだったんですよ。
それは、スタジアムを建てた人たちが、ラグビーに特有の“ノーサイド精神”を体現するために、あえてひとつにしたそうです。