次女のちひろさんが大地くんに「栗好きやったやろ。これ栗味、おいしいよ」と赤いマカロンを手渡したのを見て、彩子さんが言った。
「はい、大ちゃん。ちゃんと食レポしてよ。おいしいですか?」
母の言葉に「おいしいでーす」と即答する大地くん。陽華さんがすかさずツッコミを入れる。
「まだ食べてないやーん(笑)」
春真っ盛り。山本家の食卓にはこの日も両親、それに7男2女、たくさんの笑顔の花が咲いていた。
■子どもが9人いてよかったと思うことは感動も9倍あること。毎回新鮮な感動が
記者が「子どもが9人いてよかったことは?」と問うと、間髪入れずに「感動が9倍あること」という答えが返ってきた。
「初めて歩いた、しゃべったにはじまり、卒業や入学、運動会など学校の行事も。私は子どもの成長を9人分実感するタイミングがあって。それが、たとえ何回目だとしても毎回、新鮮な感動があるんです」
最たる感動のシーン、それは新たな命が生まれてくる瞬間だ。彩子さんは自然なお産を推奨する助産院で、子どもたちを産んできた。
「後ろから夫に抱き抱えてもらいながら、上の子たちが見守るなかでのお産。助産師さんが『手伝うか?』って子どもたちに聞いて、生まれてくる赤ちゃんを上の子たちが取り上げたり、へその緒を切ったりもしたんです」