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大地震で家屋倒壊…九死に一生を得た5人の実話

女性自身
大地震で家屋倒壊…九死に一生を得た5人の実話

熊本地震で被災した家屋



5月5日に石川県珠洲市で震度6強の揺れを観測した地震は、11日現在で死者1人、重軽傷者30人以上を確認。住宅の全半壊が30棟近く、一部破損は600棟に及ぶ。

珠洲市で被災した人のなかには、自宅が倒壊しながらも、テーブルの下に隠れて救出された女性もいた。

■実例1:「テーブルの下に隠れた」(77歳女性)

珠洲市の77歳女性は地震発生時、2階建ての自宅の道路側に面した1階の寝室で寝ていた。布団をかぶったまま揺れが収まるまで待ったが、「天井が落ちてきた」と直感し、部屋の隅のテーブルの下にとっさに隠れた。しばらくして近所の人や救急隊員の声の方向にはうように進んでいき、発生約2時間後に助け出された。(NHK NEWS WEBより抜粋)

今回の石川県以外でも各地で連続して地震が発生している。11日未明の千葉県南部を震源とした地震では、就寝中に棚の上にあった照明器具が頭に落ちて負傷したケースが報じられた。


「’95年の阪神・淡路大震災では、タンスや家具の下敷きになった死亡例が多く報告されました。また、最近の地震でも1階が上から押しつぶされるケースが多々あります」

こう話すのは、危機管理アドバイザーの国崎信江さんだ。

朝5時46分に発生した同震災では、’05年時点の死者6434人、負傷者43792人、住宅の全半壊は24万9180棟という甚大な被害があった。兵庫県神戸市での死者4571人の死亡原因は「家屋倒壊による圧迫、窒息死が過半数を占める」という。

本誌は阪神・淡路で生存した被災者の方の“九死に一生”体験を取材。その被災例と教訓をもとに、家屋倒壊から命を守る対策を前出の国崎さんに聞いた。

■実例2:「うつぶせになって布団にくるまった」(お笑い芸人・かみじょうたけしさん)

お笑い芸人のかみじょうたけしさん(45)は当時、淡路市の実家に住む高校2年生。

「朝6時前で、2階で寝ていました。
『夢か』と思ったんですが、『ゴーッ』というすごい音で目が覚めて『地震や!』と。部屋の勉強机は下のスペースが狭くて入れない。とっさにうつぶせになって、布団にくるまりました。そしたら僕の身長よりも高くて観音開きのごっつい古いタンスが、背中に乗っかってきて『死ぬ!』と思ったんです。僕と妹のスペースを部屋の真ん中で仕切っていたタンスでした。押しつぶされそうになりながらも、夢中で背中と腕の力を使ってなんとか、はねのけまして。妹と、2階の別室にいた両親は無事でした。でも、僕らは2階にいるはずやのに、いまは地上の高さと同じ……。
『1階がつぶれた!』と、一人寝ていた祖母が気になりました」

■実例3:「仏壇がシェルターになった」(お笑い芸人・かみじょうたけしさんの祖母)

「『1階だった』ところはぐちゃぐちゃで、呼びかけても返事はない。すると倒れたお仏壇の下に、足が見えたんです。それで一生懸命、引っ張り出して救出しました。お仏壇のお位牌などをまつる部分の周辺が運よく空いていて、祖母はその隙間で助かった。当時85歳の祖母は『(戦死した)おじいちゃんが助けてくれたんや』と言っていました」

「阪神大震災の発生は明け方で、就寝中でとっさに布団をかぶった人も多かったようです。実例2でかみじょうさんが布団の中でうつぶせになったのは適切な姿勢でした。頭を下げて四つんばいになる、この『ダンゴムシのポーズ』は、もし上から家具が落ちてきたり、抑えつけられても、背中で防ぎながら少しずつ体をずらして脱出可能です。ただ、体重の4倍以上の重さになれば対処は難しくなります」(国崎さん、以下同)
しかし、実例1の女性や実例3のかみじょうさんの祖母のように、家具の下や隙間で生存できたのは「幸運な例と考えるべきで、そのまま下敷きになって命を落としてしまったケースもある」そうだ。


「まず、『(2階建てなら)寝室は2階にする』『寝室には割れ物、重い家具を置かない』ことを根本的な対策として実践してください」

割れる可能性のあるガラス製の物品は寝室に置かず、アクリル製の花瓶や、柔らかい素材の掛け時計に替えればリスクを軽減できる。

「タンスや本棚も寝室ではなく、なるべく別室に集約しましょう」

■実例4:「寝室が2階だった」(田中雅久さん)

神戸市長田区の内装業「恍雅堂」3代目の田中雅久さん(49)は震災当時21歳。「1階が店舗になっている本店2階で寝ていたんですが、揺れの2〜3分前に虫の知らせか、目覚めてるんです。『二度寝しよか』と思ったら何mも先から地響きがして、その直後に『ドン!』と縦揺れ。すぐに大きな横揺れが来て、とっさに布団をかぶりました。想像できないでしょうが、横揺れは、嵐の海面で船がブラーン、ブラーンと前後左右に揺られる感じ。遊園地の船のアトラクション『バイキング』みたいなんです。揺れが収まり布団から出たら啞然。
屋上の物干し台とか植木鉢がすべて天井を破って僕の横に落ちていました。鉄骨の階段は壁を突き破って僕の隣に押し寄せていたし、『ここにいたらやばい!』と外に出ました。当時は古い店舗や家屋ばかりで、直後に見た多くは1階がペシャンコにつぶれていました」

■実例5:「車庫に落ちて車に守られた」(田中雅久さんの祖母)

「僕は祖母がいる2号店に向かいました。すると無残に倒壊した店の前に、実家にいた両親と弟、妹が駆けつけていて『おばあちゃんが死んだ!』と泣いているんです。ところが『ここや!』と奥から祖母の声が。床ごと2階から転落したけど、車と作業場のあいだの空間にいて、落下物の直撃をまぬがれたそう。夢中で助け出しました」

実例4、5のような激しい揺れだと、家具は倒れるどころではなく、部屋中を「飛び交う」という。

「机や棚を置いているのがカーペットの上なら、面ファスナーを脚につけるだけで、摩擦抵抗が上がって動きにくくなります。
さらに、突っ張り棒で固定するより手軽な方法として、中に寝袋など軽いものを詰めた段ボールを上に重ねるのがおすすめです。天井まで隙間なく積み重ねておけば、家具が壁側から持ち上がって倒れるのを防げます」

タンスを避け、アクリルのカラーボックスなどで小分け収納をするというのも手だ。

「ボックスが散乱すれば障害物にはなりますが、圧死のリスクを回避できる可能性が高くなります」

このようにほとんどお金をかけずにできる家屋倒壊の対策もある。先人たちに学び、大地震に備えてまずは自宅の寝室から見直そう。

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