榊原郁恵 夫の渡辺徹さん最期の“会話”と、喪失の“今”を独占告白120分
このとき、主人に私の声が聞こえていたのかわかりませんが、もしかしたら最後の“会話”だったのかもしれません」
その日のうちに、渡辺さんの容体が悪化し病室をICU(集中治療室)に移した。コロナ禍で、重篤患者が入院するICUともなれば、家族でも面会は難しいはずだが、担当医からは「いつでも大丈夫ですから、いらしてください」と連絡があった。
入院当初は細菌性胃腸炎という診断だったが、悪化して命に関わる敗血症に進んだという。
「お医者さんからはあまりいいお話はありませんでした。でも、これまでも主人は、不死鳥のように復活してきたので、なかなか深刻に受け止められませんでした。いや、あえて受け止めたくなかったのかもしれません。この数年、主人の体調は万全ではなかったけど、死を近くに感じることはなかったんです」
タレントの長男・渡辺裕太さん(34)も仕事先から病院に駆けつけることができた。
「私は何本もの管につながれた主人を見ても、“万が一”という考え方をしたら主人の最期を受け入れることになってしまう。
それは考えないようにしようと思っていたんですが……」
手袋やマスクをしていたため、手を握ることもできない。