「戦争で傷ついた日用品をアート作品に」ウクライナ避難民女性が創作に込める“願い”
「雨の後、空に虹が出るように、早く戦争が終わってウクライナに希望が訪れてほしいとの願いを込めています」
今回、展示している作品は鍋や皿、洋服など、どこにでもあるような日用品ばかり。ユリヤさんがそれぞれに、パテやアクリル絵の具などで虹色の装飾や花の絵を描くなどしてアート作品に仕上げていた。一見するときれいで、とてもかわいらしい作品たち。だが、彼女が施した装飾の下には、生々しい“戦争の傷痕”が隠されている。
「この鍋に描いたたくさんの花はすべて、銃で撃たれた痕を覆っています。子ども用のワンピースも、銃弾であいた穴に花のパッチをつけたもの。このスチール製のゴミ箱の蓋にも弾痕があります。それに、爆撃された家にあったので、焼け焦げてしまっています」
そう、これらの作品の向こう側には、戦争の犠牲になった人、あるいはいまも戦禍の中にいる大勢の人たちの悲しみがある。
20代半ばになって、アーティストになるという幼いころからの夢をかなえたユリヤさん。アメリカやイギリス、ドイツなど、欧米各国の顧客や企業から注文を受け、絵を描いてきた。ところが昨年、けたたましいサイレンの音とともに、彼女を含め、すべてのウクライナ国民の人生は暗転してしまう。