「戦争で傷ついた日用品をアート作品に」ウクライナ避難民女性が創作に込める“願い”
2月24日、ロシア軍が国境を越え、ウクライナへ侵攻を開始したのだ。
「私の故郷はロシア、ベラルーシの両方向から爆撃を受けることになりました。市長は『外を出歩くのはとても危険です』と警告を発し、私たち家族は穴蔵のような自宅地下室に逃げました」
地下室に身を潜めながら、時折外に出ると、そこには焼け焦げた戦車が転がり、夜空は爆撃の炎で赤く染まっていた。3月上旬にユリヤさんは国外退避を決意。しかし、総動員令が発出されたため、54歳の父は国外に出られない。母はともにとどまることを決めた。
この先、どうしたら……。独りになり、先行きを思い悩んだ彼女の心に浮かんだのが、日本だった。
「’15年に、東日本大震災で被災した人たちのことをラジオで知りました。家や愛する人を失っても、ゼロから人生を立て直した人たちがいたことに感銘を受けました」
いつか、行ってみたい。そう心に誓って、独学で日本語を学んできた。俳句や書道の勉強も続けた。そして昨年6月。思い描いた理想とはほど遠い形ではあったものの、ユリヤさんは、憧れの国にたどり着いたのだった――。
戦禍にある祖国を思い、心が壊れそうになる思いをしながらも、ユリヤさんは創作に励んでいる。