「戦争で傷ついた日用品をアート作品に」ウクライナ避難民女性が創作に込める“願い”
彼女の心の支えとなっているものの一つが、日本の伝統的な修復技法なのだという。
「私は昔、ウクライナの教会で『日本には金継ぎという素晴らしい技がある』と教わったことがあります。割れたつぼや欠けた皿、壊れ物は普通なら捨てるしかないかもしれません。でも、その破片はゴミではありません。その物の歴史のパートです。そして、金継ぎの技法を使えば、割れた食器は修復できるだけでなく、その価値を高められるのだと」
さらに、次のように説かれたのだという。
「人の心も同じ。とてもつらい経験をして壊れてしまった心も、決してゴミではない。
きちんとつないで修復すれば、人の心はさらに成長することもできるのです」
その言葉を胸に、ユリヤさんは日本で金継ぎの技術を改めて学んでいた。そして、故郷で破壊された日用品をアートへと昇華させるのに、その技術を応用したのだ。
「すべてのウクライナ人の、いえ、戦争を目の当たりにしたすべての人の心はいま、もしかしたら壊れてしまっているかもしれません。でも、それで終わりじゃない。きちんと修復すれば、また希望を持って前を向ける日が必ず来るはず」
大好きだったウクライナの青い空。そんなかつての日常が戻ってくることを祈りながら、彼女は今日も創作活動を続けている。
【後編】日本での生活開始から1年、ウクライナ避難民家族の「たった一つの願い」へ続く
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