高齢者の「ぼっち死」描く77歳漫画家語る理想の最期「死ぬのは怖くないんです」
SNSが趣味の老人のほか、物語には各話ごとに大学生の息子を突然死で失ってしまった女性、生徒の自殺を目の当たりにした元中学教師の女性、パートナー男性の娘から「お金目的の交際」だと責められている女性などが登場。
《どんなふうに生きてきたんだろう…この最後の場所にたどり着くまでーー》というセリフに象徴されるように、孤独な暮らしぶりだけでなく、それぞれに懸命に生きた証しが描かれているのだ。
「人間、70年も80年も生きてくれば、いいときもあるし、悪いときもある。何もない人生なんてありません。実際に葬式すらなく、静かに死んでいく人でも、人生が詰まっているんですね」
■どんなふうに死にたいか考えたことはない
そう語る齋藤さんも、40歳で漫画家デビューという異色の経歴を持っている。
「静岡県の富士宮市に育ちました。高校生のころから『不幸せでもいいから、退屈ではない人生を送りたい』と思って、短大進学を機に上京しました」
英語学校で、教科書や授業で使用するスライドのイラストを描く仕事をしていた。
「職場の人脈で、浅野八郎さんという占い師の本で、手相の絵を描いたりしていました。
ところが40歳くらいになるとイラストの仕事も減ってきて……。