高齢者の「ぼっち死」描く77歳漫画家語る理想の最期「死ぬのは怖くないんです」
営業もせずに、ぼーっと仕事が来るのを待っているようなタイプでしたが“さすがにこのままじゃマズイ”とあせって、食べていくために漫画を描いてみたんです」
“退屈しない人生”を選んだ結果、40歳で小学館の新人コミック大賞に輝き、遅咲きの漫画家デビューを果たしたのだった。以来「なんとか漫画家で生計を立てられています」という。
いまでも漫画はアシスタントを頼まず、一人で作品を描きあげる。
「自分のペースで執筆しているため、『ぼっち死の館』では、不定期連載というかたちでした。絵を描くのは楽しいんですが、その前のネーム(物語の構成を含めた下書き)を書くのがいちばん大変だし、苦しい作業です」
第2話を描き終え、第3話のネームを練っている途中で、齋藤さんは脳梗塞で倒れてしまった。
「床がフワフワと揺れだして立っていられなくなりました」
バタンと倒れたときには、死を覚悟したというがーー。
「この年齢ですし、死は身近だったので怖いという感覚はありませんでした。“連載中の漫画が描けなくなったら、担当編集者に迷惑をかける”なんてことも、まったく考えない(笑)。
むしろ“このままダメ出しされたネームを描かなくていいかも。