杉浦幸『ヤヌスの鏡』では先生役の山下真司さんに30回も投げ飛ばされました
’80年代を席巻した大映ドラマならではの、過剰な演出や浮世ばなれしたセリフにも悩まされた。
「ウエディングドレス姿でオープンカーに乗ったり、風見しんごさんに『昨夜はどこに行ってたんだよ』と聞かれ『天の川で夕涼みしてたのさ』と答えたり……。どんな気持ちで演じていいのか困るシーンが多いんですよね(笑)」
■撮影中に意識を失い、気がつけば病院に
初井言榮さん演じる祖母から、折檻されるシーンも印象に残っている。
「テレビ局には『そんなにぶたないで』という手紙が届くこともあったほどですが、初井さんはちゃんと寸止めしてくださっていました。でも、私は痛い表情がなかなか作れなくて。そんなとき、監督から定規でペシッと叩かれて『その顔だよ』と言われて、ハッとしたことも。父親役の前田吟さんは、私が監督に怒られてどうしていいのかわからなくなると、私が冷静になれるよう『お手洗いに行く』などと理由を作り、『大丈夫、大丈夫』と励ましてくださいました」
教師役の山下真司に何度も投げ飛ばされるシーンにも挑戦。
「20回も30回も投げ飛ばされていると、お互いに疲れて間合いが悪くなるんです。
それで、受け身をうまく取れずに、頭を強く打ってしまいました」