「今日も明日も満員御礼」老舗劇団を女性4世代で守り続ける80歳の現役女優・佐々木愛さん
「メークでもなんでも全部、自分でやります。女優業も、もう長いですから(笑)。コロナでお客さまの足が鈍った時期も続きましたが、今日も明日も満員御礼と聞いて、ありがたいですね。明後日からは四国ツアーに出ます」
ふだんの話ぶりも快活にして、背筋もピンと。いまなお地方公演も旺盛にこなしている。
「旅暮らしでは劇場やホテルの冷房の効きすぎが体にも喉にも大敵ですから、健康法はふだんから長袖を着て備えるくらいですね」
続いて、劇場ロビーに愛さんが向かうと、そこには制作部の原田明子さん(45)と最年少女優の原田琴音さん(22)が。3人は同じ文化座の劇団員というだけでなく、祖母、娘、孫の関係でもあり、これから3世代そろっての写真撮影となっていた。
「ママ、表情が引きつってる(笑)」
琴音さんが明子さんに言うと、
「だって私、裏方だから、写真に慣れてないのよ。
こんなスリーショットは、もう最初で最後ね」
娘と孫の会話を聞きながら、
「2人とも、なかなかいい笑顔よ」
と言う愛さんに、明子さん、
「実は今、琴音に背中をコチョコチョやられてます!」
文化座は、昨年80周年を迎えた日本演劇界の老舗であり、創設以来、『荷車の歌』『土』『ビルマの竪琴』『命どぅ宝』など、社会の弱者に光を当て、平和を訴える作品を上演し続けてきた。