「今日も明日も満員御礼」老舗劇団を女性4世代で守り続ける80歳の現役女優・佐々木愛さん
結婚に当たっては、心に決めていたことがあった。
「俳優同士の結婚は、無理だと思っていました。私は結婚しても、母のような、人生のすべてを芝居にかける生き方はしないつもりだったからです。仕事も家族の生活も大事にしたいと思いました。そうなると、子育てが始まったとしても、スタッフがパートナーだったら、忙しい時期も、うまい具合にズレますからね」
30歳で長男を、さらに5年後、明子さんを出産。この長男の妊娠時に、愛さんは都内から千葉県我孫子市へ転居していた。
「相変わらず女優業中心の母には頼れませんでしたから、身近に子育てを助けてくれる人が必要と思ったとき、我孫子に長くお手伝いさんだった人や親戚がいたんです」
朝は5時に起きて家族の朝食の準備。子供たちの前ではけっして台本を開かず、保育園では役員まで引き受けた。
「父母会で『誰か役員を引き受ける人はいませんか?』となったときの、あの静まり返った“間”が役者として耐えられなかった(笑)。気づいたら『私やります』と」
多忙な愛さんをサポートしなければと、保育園では親たちの結束がより強まったとか。
「相変わらず地方公演も、飛行機に乗ることも多かった。