80歳の現役女優・佐々木愛さんが孫娘へと引き継ぐ「舞台でしか味わえないモヤモヤ」
、初めて声をかけました」
2020年12月に文化座に入座。翌年の『子供の時間』では愛さんとの共演も果たした。ちなみに制作を担当したのは明子さん。ここに女3世代の“共演”が実現。
琴音さんは、入座を決断した心境についてこう語る。
「芝居を観た後って、心がモヤモヤしますね。舞台にしかない、映画やテレビとは違う特別な感情だと思うんです。特にうちの劇団は、曽祖父母の時代から、戦争や平和に関する作品も多くて、観た人の心に必ず何かが残ると思うんです。
そのモヤモヤを、自分なりに文化座の芝居を通じて伝えていきたいと思いました。
受け継いだDNAも“佐々木愛の孫”の看板も重いですが、その重圧をいちばん理解してくれるのも祖母だし、あとは私が負けず嫌いだったことも大きいかな(笑)」
けっしてわかりやすい内容ではないかもしれない。「重い」とか「暗い」と言われることも多い。しかし、観た人の心に必ず「モヤモヤ」を残す文化座の芝居を受け継ぎ、その不思議な感情を誰より大切にしてきたのが愛さんだった。
昨年は愛さんの舞台生活60年であり、劇団の創立80周年という節目の年。さらに沖縄返還から50年目のこの年に現地公演も果たした『命どぅ宝』は、まさに文化座ならではの作品といえるだろう。