日本への外国人観光客が戻るなか…“爆買い”で市販薬品薄の懸念も
日本を訪れる外国人観光客の数はコロナ前の水準に戻りつつある(写真:時事通信)
新型コロナが5類に移行し、4年ぶりに本格的なにぎわいを取り戻した今年の夏休み。そのいっぽうで、街のクリニックの「発熱外来」は急患であふれると同時に、「薬不足」に陥っているという。
「ジェネリック医薬品のメーカーによる不正製造の問題が起きて以降、薬の需要に対して供給が追いつかない状態が続いています。特に、せき止め、喉の炎症を抑える薬、去痰剤の不足が深刻です。そのため、処方薬の代わりとして使われる市販薬も品薄になりかけています。コロナの再拡大や、インフルエンザやかぜが本格的に流行するシーズンになったらどうなるのか、今から心配です」
そう危惧するのは、くすりのケンコ薬局(東京都調布市)の加藤健一店長。発熱外来の予約がすぐに取れないとき、受診までの“つなぎ”として頼りになるのが市販薬。医療機関の事情に加え、観光客の増加が市販薬不足に拍車をかけることも懸念されている。
その背景にあるのは、中国人観光客による“爆買い”だ。
中国政府は、コロナ禍で制限してきた団体旅行を、8月10日から解禁した。ドラッグストアの店主たちが懸念するのは、観光客が薬を買い占めることによって、本当に必要としている人たちの手に市販薬が行き届かなくなることだ。