国広富之 マツが自由すぎる! ドラマ『トミーとマツ』が人気作になった理由
『噂の刑事トミーとマツ』でコンビを組んだ国広富之と松崎しげる
青春時代に夢中になったドラマの裏には私たちの知らない“ドラマ”がいっぱい。出演者ご本人を直撃し、今だから話せるエピソードをこっそりお届け!
■『噂の刑事トミーとマツ』(TBS系・’79~’82年)
ドジで気弱なトミー(国広富之)がマツ(松崎しげる)に「男女のトミコ」と怒鳴られると、特撮ヒーローのようなスーパー刑事に変身して犯人を一蹴。そんな爽快感に子どもから大人まで夢中になった。国内のバディもの刑事ドラマの元祖。
「大映テレビにはとてもかわいがられていて、山口百恵さん主演の『赤いシリーズ』では、二枚目役として出演させてもらいました。ところがあるとき、番組プロデューサーだった春日千春さんに六本木の和食店に呼び出され、『じつは次は三枚目で、とんでもない役なんだけど、やってくれるかな』と言われて……。それが『噂の刑事トミーとマツ』のトミー役でした」
そう出演の経緯を明かしたのは、国広富之さん(70)。新境地への挑戦だったが、不安よりも楽しみが先行したという。
「1話目の台本を読んだだけで、頭の中で想像が膨らんで、笑ってしまうほど」
国広さんが演じるのは、犬と女性が苦手で、臆病なトミー。そしてバディを組むのは、松崎しげるが演じる、ケンカっ早くて女性が大好きなマツ。
「マツは昔から変わらず、日焼けしていて、オープンマインドな明るい人。初めてのドラマ出演だったので、普通の役者がしないような、カメラの画角から飛び出す動きをするし、セリフも勝手に変えてしまうんです。マツが枠からはみ出しても、しっかりと引き戻せるように、台本をしっかりと読み込みました」
刑事部屋や取調室のセットを組んでいたのは、郊外にある倉庫のような場所。防音設備がないため、飛行機やヘリコプターの音が聞こえるたびに中断になったという。
「夏場は大型のエアコンを入れるとブーンと音が入るから、汗だくになって演技をして、カットのたびにエアコンを起動して、吹き出し口に涼みに行っていました」
松崎との現場は新鮮で楽しかったというが、肝心の視聴率は番組開始当初はよくなかった。
「たしか10%くらい。
今なら高視聴率ですが、『赤いシリーズ』などは30%でしたから、最初は“やばいぞ”って思っていました」
そんな状況だった4話目あたり、番組のいちばんの盛り上がりである、トミーがマツに『お前なんか男じゃない』『男女のトミコ!』と罵倒するシーンに変化をつけることになった。
「トミーが“変身”するとき、なにかアクションを入れようかと監督に提案され、『ボク、耳が動かせますよ』と答えたんです。それが採用されました。でも、実際には耳は1~2ミリしか動かないから、映像でわからない。だから、耳たぶの後ろに針金を貼り付け、押し引きして耳をぴくぴくさせていました」
そんな工夫もあり、視聴率は週を重ねるごとに右肩上がりを続け、続編を合わせ106話もの大作になったのだった。
【PROFILE】
国広富之(くにひろ・とみゆき)
’53年、京都府生まれ。’77年にドラマ『岸辺のアルバム』(TBS系)でデビュー。数々の新人賞を受賞し、アイドル的人気に。
多くのドラマ、映画で活躍する傍ら、絵画の個展も開催している
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