「日本人は『人に迷惑をかけない』を優先します」フランス出身女性・佐々木イザベルさんが日本での就職を選んだ理由
そう、2人は漁師の夫婦なのである。イザベルさん(43)がホタテ養殖業の二代目である佐々木淳さん(52)と結婚して、もうすぐ3年になる。
「子供のころ『桃太郎』の仏語訳絵本や、6歳から始めた空手の専門誌を読んで、ニッポンに興味を持つようになりました」
フランスで生まれた彼女は、’02年に留学生として初来日し、京都大学で学んだ。’11年3月の東日本大震災発生の翌月から大船渡市にボランティアとして入り、がれき撤去などに携わった。
その後、震災復興から地域復興へと関心は移っていったという。
「被災地の方々が、以前の生活や活気を取り戻していくのを後押ししたい、もっと地域を活性化したいと思うようになったのです」
自国の文化へのプライドが特に高いともいわれているフランスで生まれ育った彼女が、なぜ遠い島国・日本を目指し、永住の地と決めたのか。そこには彼女の、日本文化へのリスペクト、そして日本で育んだ愛の物語があった。
■空手の「押忍」は尊敬・感謝・忍耐。
心地よかった“人のために”という考え
イザベルさんは’80年1月26日生まれ、フランス・ナンジ市出身。銀行員の父(71)、縫製工場の作業員の母(69)